【C. 発車シーン:希望支線、始動!】
――カラン、カラン。
村の鐘が高らかに鳴り響いた。
風が吹き抜け、掲げられた旗が空を裂くようにたなびく。
子どもたちの声が、草原を渡っていく。
「がんばれー! ルミナ号ー!」
リリアナは胸の前で一度手を合わせ、車掌笛を唇に当てた。
その仕草はまるで祈りのようで――だが、確かな意志を宿していた。
澄んだ笛の音が、世界に響く。
「――発車!」
悠真がスロットルを押し込む。
魔導機関が低く唸り、ルミナ号の動輪がゆっくりと回り始めた。
――ガタン、ゴトン。
土と鉄が触れ合う音。
千年の眠りを破る“走る音”が、再び大地に帰ってきた。
リリアナの外套が風をはらみ、悠真の頬を風が打つ。
そのとき、空が淡く輝いた。
レールの延長線上に、光の筋――**“天空のレール”**が浮かび上がる。
そして、遠くの神殿から鳴り響くのは――
誰も触れていないはずの**“鉄道信仰の鐘”**。
村人「見よ! 神が鉄の道を祝福しておられる!」
リリアナは慌てて窓から顔を出し、
「いえ、これは物理的共鳴による魔導反応で――」
悠真「今は説明しても無駄だ、雰囲気を楽しもう!」
鐘の音が空を渡り、光の波が大地を包む。
黄金のきらめきが、ルミナ号の車輪と共に駆け抜けていく。
その瞬間――
この世界に封じられていた“鉄道信仰”が、静かに呼吸を取り戻した。
そして、希望支線は走り出した。
鉄の道に、再び命が宿る。




