【C. 村人の誤解②:レール連結=魂の結合儀式】
陽が傾き始めた午後。
悠真は、慎重に二本のレールを並べ、継ぎ目に魔導工具をあてた。
青白い光が迸り、金属が溶けてゆっくりとひとつになる。
ジュウゥ……という音とともに、淡い蒸気が立ちのぼった。
悠真「うん、いいね。溶接面も綺麗に繋がった!」
その言葉を聞いた瞬間――村人たちがざわめく。
村人A「“繋がった”……! 魂が通じたのだ!」
村人B「見よ、あの光を! まるで神々が結ばれておるようじゃ!」
村長「久方ぶりに見る……“魂結びの儀”じゃ!」
あっという間に群衆が輪を作り、祈りの歌を口ずさみ始める。
子どもたちは両手を掲げて叫んだ。
子どもたち「線の神様~! もう一度走って~!」
悠真は顔を引きつらせながら、工具を止める。
悠真「えっと……これ、ただの溶接です。」
村長「“ようせつ”……魂の融合を意味する古の言葉か!」
悠真「違う! 物理的に金属をくっつけてるだけ!!」
隣でリリアナが帽子を深く押さえ、こめかみを押さえる。
リリアナ(小声で)
「完全に信仰活動扱いですね、これ。」
悠真は肩を落とし、ため息をついた。
悠真「宗教じゃないんだよ……これ“公共インフラ”だから!」
……その瞬間、空気が静止する。
村人たちが一斉に神妙な顔で彼を見つめた。
村人D「コウキョウインフラ……!」
村人E「聖なる響き……!」
村長「記録せよ! “聖句第八章・公共インフラ”じゃ!」
悠真「だから違うって言ってるだろーーーっ!!」
リリアナは堪えきれず吹き出す。
リリアナ「……もう、どこから説明すればいいのか分かりませんね。」
悠真は額に手を当てながら苦笑した。
悠真「せめて“公共事業”で止めてくれよ……。」
レールの継ぎ目が夕陽を反射して光る。
まるで神々の笑い声のように――ほんの少し、温かく。




