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第4話:「線路」は宗教ですか?【A. 工事開始】
朝の光が差し込む丘のふもと。
悠真とリリアナ、そして数人の村人が集まっていた。
目の前には草に埋もれた古い鉄路――“希望支線”の跡。
悠真は腕まくりをし、測量器具を構える。
背後で村人たちがわくわくと見守る。
悠真「よし、まずは測量だ! 角度と距離を取って――」
村人A「角度? ああ、神々の向きを測るのですね!」
悠真「違う! 方角だよ! 物理的な!!」
村人たちは「物理的……? それはどの神の名前じゃ?」と首を傾げる。
早くも会話がかみ合っていない。
リリアナは手にした分厚い文献をめくりながら補足を試みる。
だが、どの記述にも「鉄路は神の通り道」「列車は魂の舟」と書かれている。
リリアナ「……どうやって“宗教ではない鉄道”を説明すればいいのでしょう……」
悠真「俺も今、同じこと考えてる。」
村人たちは、悠真が地面に杭を打つたびに静かに祈りを捧げ、
測量用の縄を張るたびに「神の線だ……!」とざわめいた。
悠真は頭を抱えながら、心の中で嘆く。
悠真(心の声)
「異世界でも“説明コスト”って存在するんだな……!」
それでも、彼は笑いながら作業を続ける。
宗教だろうが誤解だろうが、レールを引けば、きっと世界が変わる。




