掃除
翌日、再び俺達は幽霊屋敷にやってきていた。中に入るとプリメラさんの説明通り、再びモンスター達が復活していて屋敷内を徘徊していた。
「では今日も手分けして探索していく形でよろしいですか?」
「そうだね、もう一度調べ直してみようか」
二手に別れてソフィアと再び探索をしていく。今回は昨日と入れ替えて俺達が1階、シェリーたちが2階を担当する事になった。モンスター達を倒しつつ、昨日と同じように片っ端から1階を調べていくが、何も見つからない。モンスターが出現する理由は魔力溜まりが原因なはずなのだが、どうやったらそれを解消出来るのだろうか。
「やっぱり何もないね」
「一番何かありそうなのはこの書斎だよね」
1階の探索もほぼ終わり、書斎の部屋を調べ始めた頃にシェリー達が2階の探索を終えたのか合流してきた。
「ショウジ様、やはり特にめぼしい物は見当たらなかったですね」
「こっちもやっぱり見つからないよ。そういえばアペルの悲鳴が全然聞こえてこなかった気がするけど、もしかして克服できた?」
「もう大丈夫です!まだ少し怖いですけど戦えるです。それよりしーちゃんの方が怖かったです」
シェリーの方が怖いとはどういう事だろう。もしかするとシェリーの事だからこの短期間で克服する為にスパルタでアペルの訓練をやったのだろうか。きっとお化けよりシェリーが怖くなるほど過酷で厳しい訓練だったのだろう。
それにしてもこれだけ屋敷中を探して何も見つからないとは。少しやり方を変えてみるか。
「探索で何も見つからないし、モンスターもほとんど倒し終わったし、意味がないかもしれないけれど掃除でもしてみようか」
「掃除……ですか?」
「そう掃除。カビ臭いし埃っぽいし空気がこもってるから、魔力溜まりも起きてしまってるんじゃないかなと思ってね」
魔力溜まりと言うくらいだから空気がこもっていたりするのがいけないのかもしれない。掃除をしたら思わぬ所で思わぬ物が出てくる事だって良くある。それに健全なる精神は健全なる身体に宿るみたいなことわざだってあるし、屋敷を綺麗にしたら魔力溜まりもなくなって、モンスターも出現しなくなるかもしれない。
「屋敷の中はシェリーを中心にアペルとソフィアが手伝う形でよろしく。外の庭は男の俺がやってくるよ」
「わかりました。それでは私達は屋敷を掃除しましょう」
正直ソフィアとアペルは掃除の戦力になるかわからないが、家事全般が出来るシェリーに任せておけば大丈夫だろう。とりあえず俺は庭の手入れをするべく屋敷の外に向かった。
掃除するとは言ってみたものの、どこから手をつけるか。少し悩んだが庭の雑草を引き抜くより先に、屋敷の建物に伸びている蔦の排除をする事にした。昨日あまりのカビ臭さと埃っぽさに窓を開けようとしたのだが、蔦が邪魔で窓を開くことが出来なかったのだ。掃除をするなら窓を開けて換気するのが基本だし、シェリー達の為にもまずは窓を開けられるようにしたほうが良いだろう。
屋敷に伸びる蔦を地面に近い所で切断して引き剥がしていく。屋敷の上の方で絡まって取れないやつは、《スチールワイヤー》を蔦沿いに伸ばしていき、絡まっている部分を切断した。引き剥がした蔦は後で燃やすとして、とりあえず《道具》の中に収納した。蔦の処理が終わると屋敷の窓が次々と開いていくのが見えた。これで屋敷内の掃除も換気が出来るようになってはかどる事だろう。
蔦の処理が終わった所で、次は庭の方の処理に移った。生い茂る雑草を根こそぎ引き抜いて行く。燃やせば早いのだろうが、屋敷に燃え移ったりしたら火事になるだろうからやめておいた。
地道に雑草を抜いていく作業をして数時間が経った頃。土と汗まみれになった俺は《清浄》を使って汚れを落とし、屋敷の中に居るシェリー達のところへ向かった。汗まみれになって働いた後は汗を流す為に風呂に入りたくなる。しかし、この世界には風呂と言う習慣はなく魔法の《清浄》があるからか、やるとしてもぬるま湯と布を使って身体を拭くくらいだった。
「外も日が暮れ始めてきたし、今日は終わりにして帰ろうか」
「そうですね、そうしましょう」
シェリーがそう答える横でソフィアとアペルがお互いに背を預けるようにしてぐったりと座っていた。なんでも俺が蔦を処理して窓が開けられるようになった後、ソフィアが屋敷中を歩き回って《換気》と《清浄》の魔法を使いまくったらしい。アペルは《水魔術》も《風魔術》も持っていない為、詠唱するのを考えるとソフィアに過酷な労働の役目が回ったそうだ。アペルはその代わりに窓拭きから床の雑巾がけと過酷な肉体労働が待っていたのだった。
「疲れた」
「もう動けないです」
「2人ともお疲れ様。今日はちょっと奮発していつもより美味しいものでも食べようか」
「それでは私は屋敷の窓を閉めてきます。2人は少し休んでいてください」
シェリーが屋敷の窓を閉めに行き、戻ってきた時には2人ともなんとか動ける状態まで回復していた。俺達は屋敷を出て、ちょっと美味しいものを食べに食事処へと向かったのだった。




