探索
俺とソフィアはシェリー達と別れた後、玄関に引き返して2階へと続く階段を上っていた。先程の集まってきたモンスター達を処理したおかげか、その後はまばらにモンスターが出てくるだけだった。
それでも階下から時々悲鳴が聞こえてくるが、その辺りはシェリーが上手い事やっているだろう。アペルの事はシェリーに任せたので、俺達は本来のクエストを達成するべく、2階の部屋を次々と調べていった。
「それにしても幽霊屋敷になった原因って何なんだろうね」
ダンジョンであれば魔力溜まりの所にダンジョンコアが生成されて、そこにダンジョンが生まれる。それから考えるとこの屋敷の何処かにダンジョンコアが生成されたとか。
その場合はダンジョンの入り口のブラックゲートがないし、気付かずにいつの間にか潜っていたとか。でもそれも階層を選ぶウィンドウが出ていないからないはずだ。
そうなると次はダンジョンではなくて一般フィールドにいるモンスター達だ。今の所はグリーンスライムくらいしか出会っていないが、それでもモンスターはモンスターだ。どうやって生まれてきているのかがわかれば、建物内にモンスターが出現する理由に繋がるかもしれない。
モンスターの出現については今度またプリメラさんに聞くとして、とりあえずは屋敷の中を調べていく事にしよう。
「ソフィア、何か見つかった?」
「特に何もない」
結局これと言ったものを発見する事は出来ずに、2階の部屋を全て調べ終えてしまった。天井裏みたいなものもなさそうで、1階のシェリー達に合流する為に階段を降りている途中、ソフィアが訝しげに首を傾けていた。
「どうかした?」
「ここ暫くアペルの悲鳴が聞こえない」
ソフィアに言われて気付く。確かに2階に来たばかりの頃はアペルの悲鳴が度々響いてきていたが、今は屋敷の中がしんと静まり返っていた。
「何かあったのかも。急いで合流しよう!」
屋敷の中を疾走して、1階を探索していたシェリー達を探す。1階もモンスター達を粗方倒し終えたのか、ゾンビやゴーストに遭遇する事もなかった。もしかしたらモンスターが居なくなったから、悲鳴が聞こえないだけかもしれないと頭を過るが、2人の無事を確認するまで屋敷の中を探し回った。
2人を見つけたのは屋敷の中でも他の部屋より格段に広い書斎だった。そこには壁を埋め尽くすほどの本棚と沢山の本が収まっていて、それらに囲まれた部屋の中でアペルがモンスター達と戦闘中だった。アペルが戦っていたモンスター達は、開いた本が蝶のように羽ばたいて空中を飛んでいた。
一応《鑑定》してみるが、本のモンスターの名称はバタフライブックと言い、これもゾンビやゴーストと変わらず超弱い。アペルは黒蟹の剣を振るい、バタフライブックを次々と倒していった。
「どう、そっちは何か見つかった?」
戦闘が終わってから、2人に声を掛けて状況を確認する。
「すいません、何も見つかりませんでした」
「こっちも手掛かりになりそうな物はなかったかな。1階は他に見てない所とかない?」
「他はもう全部調べ終えまして、残るはここの部屋だけですね」
となると、ここを調べたらお終いかな。この部屋で何も見つからなかったら、俺達も今までの冒険者と一緒で、原因を追究出来なくて終わりそうだ。
「それじゃ手分けしてこの部屋を調べてみよう」
皆で部屋を片っ端から調べていった。他の部屋より何かありそうだったのだが、数時間掛けて調べ尽くしたが、結局何も見つからなかった。
その日の調査とアペルの訓練は、モンスターを倒し尽くして居なくなってしまった事もあり、一旦終わりにして帰る事にした。プリメラさんから聞いた話では、翌日になったらまたモンスター達は元通りに復活しているらしいから、また明日続きをする事にしよう。
屋敷を出て玄関の鍵を閉め、荒れ果てた庭を通って外に出た。外は日が暮れ始めていてもうすぐ飯時だが、食事処までの通り道だし、冒険者ギルドに寄っていこうと思った。もちろんプリメラさんにモンスターの話を聞く為だ。
冒険者ギルドに着き、早速プリメラさんにモンスターがどうやって出現するのか聞いてみた。確実な情報ではないが、地上でもモンスターが出現するのは、ダンジョンと同じで魔力溜まりが原因と考えられているらしい。同じ魔力溜まりでもダンジョンになる確率は低く、そのほとんどはモンスターになるのだと言われているそうだ。
そして地上のモンスターはダンジョンのモンスターと比べると格段に弱い事が分かっている。同じ名前のモンスターでもダンジョンにいる個体の方がステータスが高かったり、スキルを多く所持していたりするらしい。
以上の情報から推測するに、やはりゾンビやゴースト達は普通の地上に出現するモンスターで、屋敷がダンジョンになっていたなんて事はなさそうだ。
なんらかの原因によって屋敷内に魔力溜まりが出来て、そのせいでモンスターが出現しているのだろう。その原因を調べれば解決出来るはずだ。
なんとか解決の糸口が見つかりそうな気がしてきた。プリメラさんにお礼を言って、俺達は冒険者ギルドを後にしたのだった。




