表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/183

幽霊屋敷

 翌日、俺達は冒険者ギルドにやってきた。今日は幽霊屋敷に行くの予定だが、そこまではプリメラさんに案内してもらう事になっているからだ。


「ショウジさん、お待ちしてました。無事お守りは買えましたか?」


「結構高かったですけど4人分買えました」


「確かに1つ大金貨1枚は高いですよね」


 ついでにミシェリア様の伝承が記載された本も貰っちゃったけどね。そういえば本といったら冒険者の心得を買い足すんだった。


「プリメラさん、冒険者の心得ってまだあります?あったら1セット追加で欲しいです」


「常に置いてあるから大丈夫ですよ。1セットですね、銀貨1枚です」


 昨日大金貨4枚の買い物をしたせいか銀貨1枚だとものすごく安く感じる。いや、間違えた。あれは買い物ではない、寄付だ。プリメラさんに銀貨1枚を渡し、受け取った冒険者の心得(初級偏)を《道具》に収納して他の2冊はアペルに渡した。


「ありがとうです」


「あ、そちらの方々がショウジさんの新しいお仲間さんですね」


 あれ、なんか既視感を覚えた。おっちゃんの所だけでなく冒険者ギルドにもシェリーとアペルを連れてきてなかったか。


「紹介しますね、シェリーとアペルです」


「シェリーと申します。いつもショウジ様がお世話になっております」


「アペルです。よろしくお願いしますです」


 ひと通り挨拶をして、すぐに幽霊屋敷に向かう事になった。件の屋敷は北の区域にあるらしいが、辿り着いた場所は北の区域と言っても、限りなく西の区域に近い場所だった。


 屋敷自体はかなりしっかりとしたもので庭もあり、庭の端の方には巨大な木が一本佇んでいた。だが、何年も手入れがされていないせいか、庭は植物で荒れ果てていて、屋敷にまで植物の蔦が伸びていた。


「外はこの通りモンスターは出ないんですが、中のモンスターをどうにかしない限りは住めないので、手入れもせずにこのように荒れ果ててしまっているんです。中は昼でもモンスターが出るので気を付けてください」


 幽霊だから夜だけかと思って下見のつもりだったが、モンスターだからなのか昼からも出没してくれるらしい。それなら生活リズムを変えなくて良いのでありがたい。


「それなら今から中に入っちゃおうか。アペルは大丈夫?」


「は、はい、大丈夫です!頑張るです!」


 明らかに大丈夫でなさそうな表情でアペルが返事をする。


「無理せず、ゆっくり慣れていけば良いからね」


 そうアペルに伝え、プリメラさんが開けてくれた門扉を通り抜けて庭に入る。植物の荒れ果てた庭を進んで玄関に辿り着くが、ここから先はモンスターが出現するという事なので、プリメラさんが俺に鍵を渡してきた。


「私はここまでですね。屋敷の鍵はショウジさんにお預けしておきますので、それでは頑張ってください」


「はい、ありがとうございました」


 プリメラさんが去るのを見送ってから、俺達は玄関の扉の鍵を開け中へ入った。屋敷の中は昼間だというのに薄暗く、カビ臭さと埃っぽさがあり空気が淀んでいた。《換気》を使ったとしても範囲が広く、屋敷自体が汚いのでどうにもならないだろう。


 もともと貴族の住んでいた屋敷という事で、玄関も広く通路も幅があって4人で進んでも余裕がある程だった。屋敷は2階建てで玄関の所に階段があったのだが、まずは1階部分を調べて回る事にして進んでいった。正面にモンスターが現れて、それは人の形をしていたが、皮膚は剥がれ肉は腐って異臭を放っていた。《鑑定》をするが予想通り、名称がゾンビとなっていて、スキルはなくステータスは物凄く低い。つい、あまりの臭いに速攻でダークネスダガーを《投擲》して倒してしまった。でも今のゾンビみたいな弱いモンスターしか出ないのならば、あまり危険はなさそうだしアペルを先頭にして歩かせても良いかもしれない。


「今のゾンビ、ステータスが物凄く低かった。危険度も低そうだし、アペル1人で戦ってみようか」


 多少恐怖で動きが鈍くなっても十分戦えるだろうと思い、戦闘を全てアペルに任せる事にした。スパルタっぽいけど、こうでもしないとトラウマって治らないと思う。


「そうですね。あーちゃん、ここはショウジ様の考えに従いましょう。頑張って1人で戦ってください」


「え、ショージさんとしーちゃん、それ本気です?」


「ええ、本気です。お化けを克服したいんでしょう?」


 シェリーがアペルに本気なのを伝え、先を促して奥へと進ませた。アペルの後ろをシェリーがフォローに入れるように進み、俺とソフィアは後ろを警戒しながら進む。アペルは恐怖におびえながらもゆっくりとした足取りで進み、手前から並んでいるドアを1つずつ開けては中を確認していった。


 ドアの向こう側に居たゾンビやゴーストと言うモンスター達が次々と現れるたびに、アペルの悲鳴が屋敷内を響き渡った。なんとかそれらをアペルは倒していったが、悲鳴によって呼び寄せられたモンスター達がどんどん増えていく。ゴーストが《霊体》を所持していたので壁や床をすり抜けてきたが、屋内という事もあり、俺とシェリーの使う《スチールワイヤー》が近付いてくるモンスター達を次々と切断していった。


「確かにここのモンスター達は弱くて危険度も低そうですね。クエストもありますし、ここは手分けして屋敷の探索をするのはいかがでしょうか?」


 確かにこのペースでは時間が掛かるだろう。だが手分けして探索するとなると、アペルが居る方は結局1人で戦うようなものではないだろうか。


「あーちゃんは私が何とかしますので、ショウジ様はソフィアさんと一緒に2階の探索をお願いします」


「それって実質シェリー1人で戦うようなものだけど大丈夫?」


「モンスターが弱いので大丈夫です。それにあーちゃんにもしっかり働いて頂きますのでご安心ください」


 シェリーがそう言うなら任せてみよう。ソフィアもあまり戦えないし、敵も弱いしでフラストレーションが溜まり始めている。そろそろソフィアにも暴れさせてあげないと爆発しそうだ。そんな状態のソフィアを連れて、俺は2階へ上る階段のあった玄関へと向かったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ