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ミシェリア教

 俺とソフィアはティーリアの街、西の区域にある教会まで足を運んでいた。プリメラさんから教えてもらった《怨念魔術》に対抗するのに必要なお守りがここで販売されているらしいのだ。


「お邪魔します」


 扉を開けて教会の中へ入る。教会の中は長椅子が沢山並んでいて、俺の知っている教会というものとあまり違いが見られなかったが、ただ一つ違う所があった。それはシンボル的なものだ。教会と言ったら十字架なのだが、この教会は鳥の羽根がシンボルとして飾られていた。


「どうかなさいましたか、迷える小鳥達よ」


「あ、ええと、教会に来るのは初めてでして、冒険者達が良く購入するお守りを探しに来たのですがありますか?」


 祭壇の方にいた神父さんが立ち止まっていた俺達に声を掛けてきた。神父さんは終始笑顔で、なんとも優しそうな人だった。それにしても羊じゃなくて鳥か、羽根のシンボルにかんけいあるのだろうか。


「お守りですか?ああ、破魔の羽根飾りの事ですかね。もちろん置いてありますよ。宜しければご案内致しましょう」


 そう言って神父さんは破魔の羽根飾りの置いてある場所まで俺達を案内してくれた。案内された場所は教会の外で、敷地内の少し離れた場所に小屋があり、そこで販売をしているのだそうだ。


 小屋には修道服を着た女の子が売り子をしていた。神父さんが女の子に破魔の羽根飾りを出してくださいと一声掛け、それを聞いた女の子はカウンターの上に手のひらサイズの小さな白い羽根を置いた。


「こちらが破魔の羽根飾りでございます。ペンダントでもブローチでもお好きな方に加工致しますよ」


 とても綺麗で汚れを知らないようなこの純白の羽根が破魔の羽根飾りなのだそうだ。鳩の白い羽根を聖水に漬けて清め、その羽根を最後に神父さんがある事をして完成するらしい。ある事が何かは教えてもらえなかったが、何故白い鳩の羽根なのか疑問が残ったので聞いてみた。


 ミシェリア教というのがここの教会が信仰している宗教らしいのだが、昔ミシェリアという実在した人物が白い鳩を可愛がっていたという説があり、それが一番有力らしい。神父さんが言うにはそのミシェリア様の伝承は他にも色々あるらしく、それらを語りたがっていたが長くなりそうだったので遠慮しておいた。


 破魔の羽根飾りを加工してペンダントにしてもらった。数も人数分の4つを用意してもらい、お値段はなんと1つあたり大金貨1枚で計4枚だった。結構どころかとんでもなく高かった。


 破魔の羽根飾りを必要とするのが冒険者であり、教会への寄付金と言う意味もあって、その値段でやっているのだそうだ。それがなければ教会の運営自体厳しいらしく、ギブアンドテイクみたいな形になっていた。


 値段が高いが背に腹は変えられない。寄付と考えれば高くても良い事をしたと思えるから不思議だ。昔に赤い羽根募金だったかな、そういうのがあって、お婆ちゃんと一緒に募金をしたら赤い羽根を貰ったのを思い出した。そんな事を考えながら女の子に大金貨を4枚を渡し、ペンダントにされた破魔の羽根飾りを受け取った。


「ありがとう御座います。お礼と言ってはなんですがこちらをどうぞ」


 神父さんは話が出来なかった分、こちらを読んでくださいとでも言うように一冊の本を渡してきた。何の本かと言うとミシェリア様の伝承が記されているものらしい。そんな物を渡すくらいなら、その分安くしてほしいものだが、向こうも教会という立場から布教をしなければならず、破魔の羽根飾りを購入した冒険者達に渡すのが通例となっているみたいだった。


 まあ、暇が出来たら読んでもいいかなとは思うものの、そんな時間はないだろうなと受け取った本を《道具》に収納し、用事は済んだので教会から宿に帰る事にした。


「ただいま。シェリー、体調はどう?」


 宿に帰ってきた俺はまずシェリーの容態を確認した。それによっては明日は休みを取る予定だ。


「特に異常はないと思われます。ご心配おかけしました」


「それなら良かった。冒険者ギルドで対策も聞いてきたから次は大丈夫だと思う。で、これがその対策の装備らしいよ」


 俺は先程教会で受け取った破魔の羽根飾りのペンダントを取り出して皆に渡す。


「これは……。なるほど、ミシェリア教会に行かれたのですね」


 シェリーはこれが何なのか分かったみたいで、アペルは宝石の時と同じように破魔の羽根飾りの綺麗さに見惚れていた。


「これがあれば俺とソフィアが受けた《パラライズカース》と《幻惑》は無効化出来るらしいよ。でもシェリーが受けた《ソウルドレイン》は防げないらしい。ただ、グリムリーパーに触れられなければ《ソウルドレイン》が発動出来ないらしいから、そこも気を付けて再戦かな」


「ショウジ、その前にアペルのお化け克服がある」


 そうだった。グリムリーパー対策の装備を手に入れた事でリベンジする気満々になっていた。シェリーとアペルにも幽霊屋敷の事を説明しないと。


「えーと、それじゃシェリーも大丈夫そうだから、明日からはアペルのトラウマの克服をしていこうと思う。その為の場所は用意したから、明日からダンジョンじゃなくてそこへ行く予定ね」


 明日の予定を説明して、晩御飯を食べに外へ出かけたのだった。

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