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闇魔術

 コボルドは飽きたというソフィアの一言に、次は17層のダークネスバットを相手にする事になった。ダークネスバットは《闇魔術》がレベル5で、もしまた魔王の幹部のイザリナが襲ってきたとしても、そのペットのダークネスウルフが同じく《闇魔術》レベル5なので、それの練習としても良い相手だった。


 アペルから聞いた話だと前に使っていた《シャドウエッジ》は《闇魔術》のレベル10で、《フェイタルブロウ》は《深淵魔術》のレベル1の魔法らしい。そしてダークネスバットが取得しているレベル5まででは《ダークホール》と《イビルファング》が使えるようになるとの事だ。


 実際に試し撃ちをして見せてもらうと、《ダークホール》はまるでブラックホールのような黒い球体が現れ、コボルドを飲み込んでいき消えてなくなった。《イビルファング》は手の形をした闇色の霧みたいなものが、コボルド目掛けてまっすぐ伸びていき、コボルドの胴体を包み込むようにして噛み砕いていった。


 なかなか危険な魔法だった。特に《ダークホール》の防御手段があるのだろうか。ほぼ撃たれたら終わりな気がする。そこで手持ちの魔法で唯一防げそうな《結界》を試してみる事にした。《結界》を張った所に《ダークホール》を撃ってみてもらうと、《結界》の内側では無効化されているみたいで、外側では発動するのを確認出来た。外側で発動した《ダークホール》も、《結界》の中の物を飲み込んでいく事はなく、《結界》さえあれば大丈夫そうだった。


 それでも《結界》の使えない他の3人からすると脅威になるのではないだろうか。ただ黒い球体が出現してから飲み込むまで多少のタイムラグがある。その隙に範囲外まで脱出できれば飲み込まれる事はない。


 18層のホワイトゲートに辿り着き、17層へと移動する。転送された先の洞窟の中をひと気のない方へ進んでいき、遭遇するダークネスバットを次々と倒していった。事前に見せてもらっていたおかげか、ソフィア達は黒い球体が視界に現れると、すぐにその場を離れて《ダークホール》を回避する事が出来た。


「17層も18層も問題なさそうだね。これなら先に進んでも良いかもね」


「それは20層に行くって事?」


 コボルドもダークネスバット相手でも苦戦する事なく、俺が思っていた事を口にした。ソフィアが20層の守護者と戦えると期待に満ちた表情で俺の方に視線を向けてきた。


「20層でしたら山のフィールドになりますので、もう一度15層に行った方がよろしいのではないかと」


「そうだね。15層の山のフィールドに行って、山での戦いにも慣れておこうか」


「そうしましたら今日はこのまま17層で終わらせて、明日に15層と20層でしょうか?」


「うーん、それだと慣れない山の連続になっちゃうね。それは大変だろうから、17層はもう終わらせて今から15層に向かおうか」


 シェリーのアドバイスもあり、《闇魔術》を使用してくるダークネスバットとの練習はここで終わらせる事にして、15層の山のフィールドへ向かった。


 15層の山のフィールドでは斜面の移動や戦闘になる。出てくるモンスターはリーフラクーンで。狸の状態だとそんなには強くない相手だった。ただ所持しているスキルの《擬態》が厄介で、他の冒険者に成り済ましたりして近付いてくるのだ。ただ《探知》でモンスターだと分かるから、俺達にはあまり意味がなかった。《擬態》でスキルまで真似出来ていたら脅威だっただろうが、それはないみたいなので助かった。もしスキルまで《擬態》で所持していたら最悪だ。もし自分に《擬態》されたのと戦わなくてはいけなくなったら、同じスキルを所持しているわけだし、相打ち覚悟で戦わないといけないだろう。


 山を動き回り斜面での戦いに慣れた頃、時間も遅くなっていたのでそろそろ帰る事にした。他の冒険者も少なくなっているみたいで、ホワイトゲートに向かう最中もそれなりにリーフラクーンに遭遇し戦闘があった。そのせいで帰るのが遅れてしまったが仕方がない。


 ホワイトゲートを潜り外に出た。周りは既に暗くなっていて、《光明》で明かりを灯しながら帰り、その途中でダンジョンに向かう冒険者達とすれ違った。今からダンジョンに行くのだろうかと不思議に思ったが、良く考えたらそれもありじゃないか。朝からダンジョンに行くよりは、夜にダンジョンに来た方が人が居なくて楽なのではないだろうか。ダンジョン内は時間帯に関係なく昼間だったり、洞窟みたいな暗そうな所でもある程度の明かりがある。そういった理由で一般の冒険者達との混雑を避ける為に、時間帯をずらしている人達が居てもおかしくはない。ダンジョンの混雑が嫌になったらそうしようと思う。


 街に着いた所で遅めの食事を取った。そして明日は20層の攻略で守護者と戦うことになる。迷宮主のゴブリンキングほどではないだろうが、それなりに強いモンスターが出てくるだろう。宿に帰った俺達は明日の為に、早めに眠りに就いたのだった。

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