表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/183

異変

 ローテーションの最後はホブゴブリンが俺、ゴブリンナイトがアペル、ゴブリンアーチャーがシェリー、ゴブリンソーサラーがソフィアだ。俺はホブゴブリンを瞬殺して他の戦いを観戦していた。やはり一番心配なのはシェリーの所だろう。


 シェリーが《アースシールド》を使い、ゴブリンアーチャーから飛来する矢を防いだ。ゴブリンアーチャーは矢が《アースシールド》に防がれるのを見るや、弓に矢をつがえたままシェリーが姿を現すのを待っていた。シェリーが《アースシールド》から飛び出すが、そこに待っていたとばかりにゴブリンアーチャーの《ツヴァイシューティング》が襲い掛かる。シェリーは回避できず《ツヴァイシューティング》をまともに喰らってしまうが、まるで幻を見ているかのように突然シェリーが消えていなくなった。シェリーが《イリュージョン》を使用したのだ。《イリュージョン》であれば《闇魔術》レベル1の魔法なので、詠唱さえすればスキルを取得していない人でも使える。ゴブリンアーチャーは攻撃したシェリーが消えた事に驚き、シェリーはその隙を狙って《アースシールド》と《スチールワイヤー》の合わせ技で確実にゴブリンアーチャーを仕止めていった。


 ソフィアの方はというと、ゴブリンソーサラーの《ファイヤアロー》を《ウォーターボール》で相殺しながら間合いを詰めていた。そしてスティレットを一閃、容易くゴブリンソーサラーを仕留めていた。


 アペルの方も見てみると、アペルがゴブリンナイトの攻めを誘い、襲い掛かる攻撃を次々と盾で防御し対応している所だった。どうやらアペルもゴブリンナイト相手に練習をしているようだ。同じ片手剣と盾持ち同士で少しでも取り込める技術がないか観察しているみたいだ。一通りゴブリンナイトの動きを観察した後は、相手の盾に《シールドバッシュ》を行い衝撃を与えた。ゴブリンナイトを怯ませた所に黒蟹の剣がとどめを刺し、ゴブリンナイトは灰になって消えていった。


 これでそれぞれのゴブリン達を相手に1周した。その後は順調に進んでいき、12層の終わりがやってきた。俺達はホワイトゲートの前で一旦休憩を取る事にした。パンで簡単に食事を取りながらシェリーの淹れたお茶を飲み、次の13層に備えて英気を養う。


「次の層が終わったら帰ろうか。シェリーが装備を買い換えるから、装備屋のおっちゃんの所に行く予定だし」


「しーちゃん何買うです?」


「ソフィアさんの使う魔法を見ていて、私も魔力増幅効果のある宝石の付いた武器を持とうかと。ヘルグミルでお金も沢山貰いましたし、問題なく買えるでしょう」


 お金がある時に高い装備などを強化していかないと、やらずに死んでから後悔しても遅いしね。俺もソフィアも先日強化しちゃったし、アペルも何かしら強化した方が良いんじゃないだろうか。


「アペルも良いのがあったら買い換えても良いんだよ。何かの材料でおっちゃんに作ってもらうのもありかな」


「考えておくです」


 アペルは黒蟹の剣も盾も十分強いし、他の防具もシェリーと一緒に選んだやつだ。今の装備に愛着があるのか装備の買い替えにはあまり前向きではなさそうだった。それを察したシェリーが任せてくださいと小声で言ってきた。


「あーちゃん、それならまた一緒に選びましょうか」


「うん、そうするです!」


 シェリーの一言でアペルが乗り気になってくれたみたいだ。これでアペルの装備も強化されてくれれば、より効率良くダンジョンを進んでいけるだろう。


 休憩を終えて13層を目指す。転送された13層は森だったのだが、俺達が居るのは木が生えていないやけに広い空間だった。周囲を見渡すと木々はあるのだが、広場と森の境目に《結界》が張られていて、森の中へ入れなくなっていた。


「何だろう、いつもと違う。皆気を付けて」


「《結界》があって移動を制限されているのもおかしいですね」


 シェリーも現状の異常さを感じ取った。これは何かあると思った方が良いだろう。臨戦態勢を取り、いつでも襲撃に対応出来るようにする。すると部屋の中央を中心として、地面に魔法陣が現れた。


 この魔法陣は見た事がある。そう、守護者が現れる時と同じだ。魔法陣は徐々に上昇していき、そこからモンスターが少しずつ姿を現していく。今までのジャイアントウルフやサンドゴーレムに比べるとそこまで巨大ではない。それでも3メートルくらいはありそうな背丈の人の形をしたモンスターだった。肌の色が緑で頭には大きめの角と、多彩な宝石で飾られた金色に輝く王冠が乗っていた。


 魔法陣が消え去り、完全に姿を現したモンスターをすぐに《鑑定》で確認すると、モンスターの名称はゴブリンキング。ステータスはそこまで高くなかったのだが、厄介なスキルを所持していた。それは《召喚》だ。レベルは1だが、それで眷属を召喚できるらしい。


 ゴブリンキングの咆哮が轟く。すると周囲にいくつもの魔法陣が出現して、そこからゴブリンらしきモンスターが姿を現した。その数ざっと見て30体くらいはいるだろう。しかもそれらはゴブリンナイト、ゴブリンアーチャー、ゴブリンソーサラーが大量だ。更にはゴブリンキングの周囲に数は少ないが、側近みたいな形で上位種っぽいゴブリンライダー、ゴブリンハンター、ゴブリンウィザード、ゴブリンクイーンまでもが姿を現していたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ