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ゴブリン三銃士

「ゴブリンの下っ端はどうにでもなるだろうけど、他の上位種っぽいのはどうしようか?」


 ただでさえ数が多いのに、更に上位種が混ざって厄介だ。ゴブリンライダーはサーベルウルフに騎乗していて、《剣術》レベル10と初めて見る《騎乗》レベル1を所持していた。サーベルウルフに乗っているくらいだから《騎乗》とはその名前の通り、動物やモンスターに乗っている時にスムーズに動けるようになるスキルだろう。


 ゴブリンハンターは《弓術》レベル10と《罠設置》レベル1、これも初めて見るスキルでレベル1は《レッグホールドトラップ》が使えるらしい。名前からして足止めをする罠なのだろう。設置する時の条件や使い方によっては脅威になるだろう。


 ゴブリンウィザードは4属性の魔法をレベル5ずつと、光と闇の魔法をレベル1ずつ所持していた。ゴブリンウィザードは初見のスキルはなかったので比較的対処しやすいだろう。だが範囲魔法は脅威だ。固まり過ぎるのも良くないが、各個撃破されないように離れすぎるのも良くない。フォローし合えるくらいの距離を保ちつつ戦うしかない。


 ゴブリンクイーンは《回復魔術》レベル10のみだが、これも厄介で一撃で倒せず回復されるとしたら、消耗戦になる可能性が高い。そうなると数の多いゴブリン達の方が有利だ。しかもゴブリンキングの《召喚》が更に使えた場合、倒しても再び《召喚》されるのでキリがない。どれも強敵揃いである事は間違いない。そして上位種達の能力を全員に伝えた。


「強い敵と戦えたらなんでも良いよ」


「それじゃあソフィアがゴブリンライダー、シェリーが範囲魔法で雑魚達を蹴散らして、余裕があったらゴブリンクイーンもよろしく。アペルはゴブリンハンター、俺がゴブリンウィザードをやる。ゴブリンクイーンが《回復魔術》を使ってくるだろうから、なるべく使われる前に倒す事。良いね?」


「分かった。とりあえず雑魚一掃して良い?」


「ソフィアさんがやりたいなら良いですよ」


 さっそくソフィアが《チェーンサンダー》を使い、ゴブリン達の中央上空から稲妻を落として、それが更に周囲に連鎖して広がっていく。稲妻の通った道に居た黒焦げのゴブリン達は灰となり散っていった。今ので10体くらいは巻き込んだだろうか、残った前衛のゴブリンナイト達を切り伏せながら進んでいく。しかし数が減ったのを見るやゴブリンキングが再び雄叫びを上げ《召喚》を使用した。魔法陣がいくつも現れそこから姿を現すゴブリン達。


 嫌な予想が当たってしまった。ゴブリンキングは何度も《召喚》を行えるみたいだ。再び出現したゴブリン達はソフィアが《チェーンサンダー》で倒したのと同数くらいだったので、大体総勢30体くらいが限界なのだろう。だが居なくなったらすぐに使えるとしたら、雑魚を倒してもキリがない。ゴブリンキングという要をどうにかして倒さないと、それ以外を倒しても再び《召喚》されるだけだろう。


「作戦変更!ゴブリンキングを何とかしないと、他のゴブリンを倒しても再度《召喚》されるだけだ!」


 不幸中の幸いと言うのか、ゴブリンキングの能力自体は高くない。《召喚》という驚異的なスキルを持っているだけだ。俺はダークネスダガーをゴブリンキングに《投擲》する。しかしこれはゴブリンキングの周囲で守っているゴブリンハンターによって撃ち落された。


「ショウジ!こいつの機動性は厄介。このまま相手する!」


 ソフィアはゴブリンライダーの機動性を危惧して、ゴブリンライダーを押さえる役目を担ってくれるそうだ。ゴブリン達の基本的な攻撃はゴブリンナイト、ゴブリンアーチャー、ゴブリンソーサラー、更にはゴブリンライダーが縦横無尽に広場を駆け巡って攻撃するフォーメーションのようだった。だがゴブリンライダーはソフィアが押さえ込み上手く遊撃役をこなせていないので、俺達は大分楽に動けるだろう。


 俺の《投擲》を撃ち落したゴブリンハンターとゴブリンウィザードは完全にゴブリンキングを守護する役目らしい。ゴブリンクイーンはゴブリンライダーの受けた傷を癒している。そのせいかソフィアもゴブリンライダーに止めを刺すことが出来ずにいた。


「ショウジ様!私がゴブリンキングまでの道を切り開きます!」


 シェリーが《グラビティフィールド》と《アースクエイク》を併用し、ゴブリン達を転倒させた所に続いて起きた地割れが纏めてゴブリン達を飲み込んでいく。アペルも《エクスプロージョン》放ち、爆発を起こしゴブリン達を一掃する。爆煙が俺達の視界を奪うがそれは向こうも同じ。姿をくらませた機会を逃さず一気にゴブリンキングへと接近する。爆煙地帯を抜けると目の前にはゴブリンキングと側近3体のみだった。このままゴブリンキングを狙えばいける。そう思った瞬間、ガギンッという音とともに足に激痛が走った。


「がああああああああああああああああ!」


 強烈な痛みに意識が飛びそうになるが堪える。足元を見ると鋼鉄製のギザギザした歯が足に挟み込むようにして食い込んでいた。見た目は猛獣を捕まえたりする時のトラバサミ、となるとこれがゴブリンハンターの《レッグホールドトラップ》だろう。視線をゴブリンハンターに向けると、僅かに口角が上がって嘲笑っているように見えた。更にこちらに向けて弓を構えていて《ドライシューティング》を放ってくる。隣に居るゴブリンウィザードも魔法を唱え、《ファイヤジャベリン》がこちらに向かって放たれた所だった。


 痛みで上手く魔法の発動が出来ない。罠によって回避する事も出来ず、俺は飛来する3本の矢と炎の槍をただ待つだけだった。

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