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宴会

 ガベルに付いていき辿り着いた家は避難所のすぐ隣にある家だった。ここが村長の家兼ガベルとアペルの家らしい。ガベルが先導して入り口のドアを開け俺たちを誘う。


「さあ、遠慮なく入ってくれ」


「お邪魔します」


 家に入ると良い香りが漂ってきた。それと同時にお腹が鳴り、昨日からずっとモンスターと戦い続けて食べる事も忘れ、空腹な状態である事に気付いた。先程まで何故手際よく食事の準備が進んでいるのか話を聞いた所、戦いが終わった後すぐにそれを知らせに避難所に向かった者が居て、避難所の人達は一晩中戦い疲れた人達を労う為に早々と家へ帰り食事の準備をしていたらしい。こういうときは皆で集まって宴会みたいなのをするのかと思っていたのだが、それは今夜やるらしく今は疲れを癒し寛げるように各家にて食事の準備を行っているらしい。


 そういった具合で今俺達の目の前には久しぶりのご飯が並んでいる。一緒に居るのは村長さんにその奥さん、ガベルとアペルの4人に俺とソフィアが加わり合計6人で食卓を囲む。獣人族の食事は香草で焼いた肉が並ぶだけといったシンプルなものだったが、兎に角盛り沢山でボリューム満点の内容だった。


 食事を終えると村長から改めてお礼を言われてどういたしましてと返しておく。戦いは大変だったがこちらもそれを承知で来ていたのだ。特に気にしなくてもいいと思うんだけどね。ご飯もご馳走になり疲れもあった為か眠気が襲ってきて、隣に居るソフィアもウトウトし始めていた。それを見て村長の奥さんが客間まで案内してくれたので、眠い目を擦るソフィアを連れて後に付いていく。客間に着いてソフィアはすぐに横になって眠り始めた。俺はソフィアに用意してもらった毛布を掛けてから、自分も毛布に包まり眠りに就いたのだった。


 目が覚めると既に日が暮れ始めていて、家の外からは賑やかな笑い声や音が聞こえてきた。そういえば宴会みたいなのを夜やるという話は聞いていた。きっとそれを隣でやっているのだろう。村長さんや奥さん、ガベルにアペルも見当たらない所から既に隣の宴会に参加していそうだった。そしてソフィアはまだ俺の隣で毛布を被って寝ていた。ソフィアもそのうち起きるだろうと思いそのまま待つ事にした。


 《ステータス》や《スキル》のウィンドウを開いて時間を潰す。スコーピオンを大量に倒したおかげかレベルが結構上がっていて、それに合わせてスキルポイントも余裕が出来た。そこで俺はスコーピオンとの戦闘中に《結界》を見つけたのとは別に、ネタバレで知ってしまった《精錬》の上位スキルである《能力付与》を取得する事にした。《能力付与》は装備品に自分のスキルの能力を文字通り付与できるようになる。これがあればシェリーに教えてもらった《結界》の能力を持った装備品が作れそうなのだ。だが実際に《能力付与》を取得して使ってみたが、付与したい装備品と相性の良い能力しか付与できないみたいなのだ。残念だ。《結界》と相性の良い装備、特に実例のある指輪系を探そう。


 ようやくソフィアが起きてきたので一緒に隣の宴会場に向かう。そこには共に戦った獣人達が揃っていて、テーブルに置かれている酒や料理を口にしては一緒に笑い合っていた。奥の席にガベルとアペルが居て、アペルがこちらに気付いたようで手を振ってくる。


「ショージさん、ソフィアさんこっちです」


 アペルの呼ぶ声に周りの皆の視線が俺達に集まった。注目されているがアペル達の居る所まで向かい腰を下ろす。テーブルには他の席と同じように食べ物や酒等が置かれていて、アペルに好き勝手に食べて良いと教えてもらった。アペルの家で肉を食べた後そんなに時間が経たずに寝てしまったせいか、余りお腹は空いていなかったので飲み物だけ受け取ると、ガベルが急に立ち上がった。


「皆、この度は御苦労だった。主役もやってきた事だしここでもう一度村を代表して礼を言う。ショージ殿もソフィア殿も村の為に戦ってくれてありがとう」


 ガベルが頭を下げるなり宴会場の全員が一緒に頭を下げた。


「だがアペルは渡さないからな」


 その追加の言葉にそこにいた全ての人が笑いに包まれた。その後は獣人達が代わる代わる俺とソフィアにお礼を言いにきては離れていき、小腹も空いてきたのでテーブルの料理を食べたりしていた。未成年だがお酒も飲んだ。あんまり美味しいとは思えなかったが、酒に酔うっていうのがどんな状態になるかは分かったので程々で止めておいた。


 そしてソフィアはお礼を言いにくる獣人達にお酒を注がれるままに飲んでいたら、予想通り飲み潰れてしまったのでここら辺で御暇する事にした。楽しい時間もあっという間に終わってしまった。俺はソフィアを抱え上げてアペルと一緒に隣のアペルの家まで戻り、アペルは自分の部屋で寝ると言ってそちらへ向かった。俺は客間まで向かい抱えているソフィアを寝かせて俺も横になった。軽く酔いが回っているせいか横になってすぐ眠気も襲ってきて、俺はあっさりと眠りに就いたのだった。

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