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4人目のパーティーメンバー

 翌朝朝食もご馳走になりヘルグミルの街へ帰る準備をしていた。最初は徒歩で帰ろうとしていたのだが、村長が蜥蜴車を用意してくれて、それでヘルグミルの街まで送ってくれる事になった。


「アペル、いつでも帰ってきなさい」


 アペルのお母さんがアペルと抱擁を交わす。アペルが俺達と一緒に他国で生活する話をしていたみたいで、今生の別れではないがそう簡単に帰ってこれる距離ではない。アペルは別れを惜しむようにして離れ蜥蜴車に乗り込んだ。アペルのお父さんとお母さんはこうして見送りに来てくれているというのに、妹を大切に思っている筈のガベルが見当たらないのが不思議に思って聞いてみた。


「アペルが遠くに行ってしまうのがショックで家で寝込んでいるわ」


 何て事だ。ガベルには悪いが良い機会なのでここでちゃんと妹離れをしてもらおう。俺達もアペルに続いて2人に別れを告げて蜥蜴車に乗り込むと、ゆっくりと蜥蜴車がヘルグミルの街へ向けて走り出した。移動中暇だったので今回の件で大量にレベルが上がったスキルポイントをどうするか聞いてみた。


 ソフィアは上位魔法の《雷魔術》と《氷魔術》のレベルを上げるそうだ。上位魔法だからレベルを上げる為のスキルポイントの消費も激しい。ただ今回のレベルが上がって手に入れたスキルポイントからするなら両方のレベルも問題なく上げられるだろう。アペルは《剣聖術》を最大まで取得した。最大はレベル5だったのでまだスキルポイントは余っているそうだ。そして《剣聖術》の更に上位のスキルは無いみたいだった。なので《火魔術》をレベル10にして《炎魔術》を取得したらしい。2人共順調に強くなっているみたいで良い事だ。


 蜥蜴車が走り続けて夕方にはヘルグミルの街に辿り着いた。蜥蜴車で送ってくれた獣人のお兄さんは、ヘルグミルの街で買い出しを頼まれているらしく買い物をしてから帰るらしいので、街に入った後お礼を言って別れた。


 心配しているだろうシェリーを安心させる為に、宿へ真っ直ぐ向かい部屋の扉をノックすると、すぐにドアが開き中からシェリーが飛び出してきた。


「た、ただいま」


「ショウジ様、お帰りなさいませ。ご無事で何よりです」


 あまりにも早くドアが開いたのに少し驚いたがそれだけシェリーに心配を掛けたのだろう。とりあえず出入り口で立ち話も何なので部屋の中へ入る。テーブルの席に着きシェリーがいつも通りお茶を淹れてくれるのでそれを待ち、お茶を一口飲んで落ち着いた所で今回の事の顛末をシェリーに話す。シェリーは始めから終わりまで物静かに俺の説明に聞き入っていた。大体の流れと起こった事は話したと思うがソフィアとアペルが補足説明を入れてくれる。


「もう少し強いモンスターを期待していた」


「スコーピオンの数がとても多くて大変だったです」


 確かにスコーピオンの数が多過ぎて大変だった。そしてソフィアはデスニードルスコーピオンでは満足できなかったらしい。十分強かったと思うのだが、今まで戦った中で一番強い守護者と比べているとしても遜色ないくらい強かったと思う。これはソフィアが強くなって相対的に相手を弱く感じてしまったのではないだろうか。そしてシェリーが真剣な表情で口を開いた。


「ショウジ様、初めてお世話になった頃に私に仰られた事を覚えていらっしゃいますか?」


 はて、何の事だろう。何か重要な事を言ったっけ?全く見当がつかないので降参して教えてもらう。


「ダンジョンに一緒に行かないか、とお誘い頂いた事です」


 ああ、その事か。確かダンジョンに行くのを誘って断られたんだった。理由は詳しく聞いていなかったが何かあるだろうとは思っていた。それをとうとう話してくれる気になったという事か、俺は頷いてシェリーの言葉の続きを待つ。


 シェリーが言うには今回の件で俺達がアペルの住んでいる村の援軍に向かい、自分が何の役にも立てなかったのが口惜しかったらしい。それと同時に心配もしていて、それならば自分も強くなって同じ場所に立ちたいと思ったらしいのだ。そして過去に人族と獣人族との間で戦争があったが、冒険者だったシェリーの両親は冒険者ギルドの要請によりその戦争に参加した。冒険者としてそれなりに実力もあったらしいのだが、それでも戦争という脅威は2人を死へと誘った。冒険者になって実力を付けても死ぬ時は死ぬ、そう思い冒険者にだけはならないと決めていたそうだ。両親も居なくなったシェリーは働く事も出来ずにいた所、奴隷商人に拾われ生きていく為に奴隷となることを選んだ。


 そういう訳でシェリーは冒険者となって強くなると決意したそうだ。これからは俺達のダンジョン攻略へ一緒に行くという事で、それなら装備を買い揃えに行かないと。後はタランドーさん達にスコーピオンの大群の脅威は無くなったと説明しないといけない。俺は皆を連れてタランドーさんに会いにホルグレンさんの屋敷へ向かった。

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