ソフィアvsデスニードルスコーピオン
2体目のデスニードルスコーピオンを屠り、再びスコーピオンを殲滅していく。暫くすると戦場を白く染めていた《ホワイトブリザード》が《エクスプロージョン》に替わっていた。アペルの休憩が終わってソフィアと交代したようだ。
そうなるとソフィアの範囲殲滅がなくなる為、俺も《エクスプロージョン》を多用し始める。俺とアペルの《エクスプロージョン》が盛大に砂煙を上げ、スコーピオンの群れを蹴散らしていくが、それもすぐに終わる。俺の魔力が無くなってきていたのだ。《結界》に多量に魔力を消費し魔力回復剤を飲んだものの、《結界》の維持にも多少魔力を消費しているらしく、魔力の回復が遅い気がする。俺は魔力の回復を待っては《エクスプロージョン》を使用して何とか殲滅力を上げた。
暫くデスニードルスコーピオンの登場もなく、均衡した戦況が続いていた。そして俺の休憩の番が来たようだ。ソフィアの休憩が終わり復帰したのか、戦場のスコーピオン達を再び猛吹雪が襲い始めた。それに合わせて後方へ下がり、スコーピオンの群れに出来る限りの《エクスプロージョン》を放ち、念の為自分に《結界》を展開して休憩というか仮眠を取った。
一度眠りに就いたが周りの喧騒で目が覚めた。どのくらい眠ったか分からないけれど、魔力も充分に回復しているし大丈夫だろう。硬くなった筋肉をほぐして戦線の様子を見ると、デスニードルスコーピオンがすぐ近くまで来ていた。俺は慌てて《結界》を解いて戦線へ向かう。デスニードルスコーピオンの近くにはソフィアとアペルが一緒にスコーピオンの群れを殲滅していたのでそこに合流する。
「ショウジ起きてきちゃった。寝てていいのに」
ソフィアの言いたい事は何となくだが分かる。どうせ俺が居たらデスニードルスコーピオンを取られるとでも思ったのだろう。俺はソフィアと違ってバトルジャンキーじゃありません、多分。デスニードルスコーピオンと戦いたいのなら譲るさ。ソフィアが戦っても尻尾や鋏の杭の射撃さえ避けれれば勝てると思うが、心配だ。
「言いたい事は多分分かる。デスニードルスコーピオンは結構強いから気を付けるんだよ」
「流石ショウジ、良く分かってる」
ソフィアが満面の笑みを浮かべてやる気を出している。仕方がない、アペルと一緒に《エクスプロージョン》で周りを綺麗にしてソフィアが戦い易いようにしてあげよう。万が一怪我を負っても《治癒》もあるしここは任せる事にした。
俺とアペルが《エクスプロージョン》でデスニードルスコーピオン周辺のスコーピオンを一掃し、ソフィアが開いたスペースを駆け抜けていく。ソフィア目掛けてデスニードルスコーピオンの尻尾の先端が飛来してくるが、ソフィアは走りながら横に跳んでそれを避ける。てっきり2発目3発目が来るかと思ったが鋏の杭は発射されず、ソフィアはデスニードルスコーピオンに《ウィンドトルネード》を放つ。デスニードルスコーピオンが鋏で防御するが、更にソフィアは《アイスランス》で追撃しデスニードルスコーピオンを狙う。氷の槍がデスニードルスコーピオンを下から穿ち、その巨大な身体ごと持ち上げた。デスニードルスコーピオンは身動きを取れなくなり、ソフィアの魔法によって少しずつ体力を削られ、最後には力尽き灰になって消えていった。
あれ、これってソフィアの完全勝利じゃないか。俺被弾、ソフィア無傷。うん、本当に俺居なくても大丈夫だったみたい。ここは素直に褒めておこう。
「ソフィア、強くなったね」
「まだまだ。もっと強くなる」
確かにダンジョンで言えばまだ10層までしか攻略してないのだ。今は50層位まで攻略されているらしいが、それを考えるとまだ5分の1。まだまだ強くならないといけない。
3体目のデスニードルスコーピオンを倒した後は何事もなく進んでいった。空が白くなり始めた頃、スコーピオンの群れが遠くで途切れているのが確認できた。ようやくこの戦いの終わりが見えてきた。デスニードルスコーピオンらしき姿も見当たらないので、後はスコーピオンを殲滅するだけだ。
残り僅か数体の所までスコーピオンの数を減らしていった。他の獣人達は座り込んだりはしないものの、剣や槍などの武器を杖の代わりに地面に突き立て、肩を上下させながら辛うじて立っているような状態だった。
「最後です!エクスプロージョン!!」
アペルの《エクスプロージョン》によって、残っていたスコーピオンは全て纏めて灰になり消えていった。それと同時にそれを見ていた獣人達の歓声が周囲に響き渡り、ようやく戦いが終わったのだと実感する。
「つ、疲れた……」
途中で休憩を取ったが夜通し戦い続けてもうヘトヘトだ。砂の上に寝転がって手足を放り出し、全力でだらけていると頭上を影に覆われた。目線を影の主に向けるとそこに居たのはガビルだった。
「ジョウジだったか、村を救ってくれてありがとう。お前達が居なければこの村は無くなっていただろう。それと村での非礼を詫びさせてくれ、すまなかった」
糞野郎の件だろうか、ガベルが謝罪をして頭を下げる。俺はそれを見て起き上がり頭を上げて下さいとお願いする。それでもガベルは少しの間頭を下げ続け、頭を上げた後に手を差し伸べてくる。俺はその手を取って立ち上がり、砂を払い落とすために《清浄》を使う。
「ガベルさんこそ援軍に来てくれたおかげで助かりましたよ」
「お前の《結界》があったから援軍に行く事が出来たんだ。全てお前のおかげだ」
「そう、ジョウジは凄い」
「本当に凄いのです」
俺とガベルが話しているとソフィアとアペルが加わってきた。2人とも俺を褒めてくれる。ソフィアは範囲魔法の殲滅を頑張ってくれたし、デスニードルスコーピオンも俺とは違って無傷で倒してしまった。アペルもここ数日でかなり強くなってくれていて、アペルのおかげで最初のデスニードルスコーピオンは容易く倒せたのだ。俺は2人も凄かったと伝えると、便乗してガベルもアペルを褒め始めた。
「アペルがあそこまで戦えるようになっているとは驚きだ。ここ数日見なかっただけで随分と成長したようだな、正直見間違えたぞ」
ガベルがアペルの頭を撫で、それを嬉しそうに受け入れるアペル。そしてガベルが俺達に今日は疲れただろうから家でゆっくりしていってくれと招いてくれたので、お言葉に甘える事にしてガベルの後に付いていった。




