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デスニードルスコーピオン再び

 俺はアペルに村長の場所まで連れて行ってもらった。そして俺はローテーションで休憩を取ることを進言する。しかし予想通りそれをするには人が足りないという事で断られた。村長も苦虫を噛み潰したような表情をしていたので分かっているのだ。俺は先ほど思いついた事を村長に話し、アペルの口添えもあったおかげか許可をもらえた。


 戦線はソフィアとアペルに任せ俺は早速行動に移り、全速力で来た道を戻って避難所までひた走る。避難所にいたガベルは全速力で走ってきた俺を敵襲かと思い武器を構えていたが、手前で止まり敵じゃない事を知らせる。


「アペルと一緒に居た糞野郎じゃないか!何しに来た?まだ戦いは続いているのだろ」


 何もしてないのに糞野郎って随分嫌われたものだ。そんなにアペルと一緒に居るのが羨ましいのだろうか。シスコンもここまで来ると呆れて何も言えなくなるな。


「今はなんとか殲滅が間に合っていますが、皆疲労が溜まってきています。順番に休憩を取らせたいのですが人数が足りません。それでガベルさん達に戦いに参加してもらいたいんです」


「参加出来るならとっくに参加している!父上からの命令で戦えない村人を守らないといけないのだ!」


「戦線を維持しているおかげでここまで敵は来ません。ですがこのままだとその戦線が崩れます。村長さんには許可も取ったので戦闘に参加してください」


 それでは何かあった時村人を守れないではないかというガベルの言葉に、俺は用意しておいたスキルを使う。俺が見つけた打開スキル、それは《回復魔術》の上位スキル《神聖魔術》で使えるようになる《結界》だ。ガベルの周りを結界が包み込む。俺はそれを確認してガベルに向かって《鑑定》を使ってみた。結果は相手の情報が表示されずに終わった。普通の結界に入っているだけも鑑定遮断の効果はあるみたいだ。《結界》解いてこれを避難所に展開するから大丈夫だと伝える。上位スキルで使える魔法だから能力的には問題ないだろう。


 俺は避難所を包み込む程の巨大な《結界》展開させようとすると、体中から魔力がごそっと持っていかれる感覚がして《結界》が発動した。流石に範囲が大きく魔力を使い過ぎて倦怠感が襲ってくるが、《道具》からソフィア達が用意してくれた魔力回復剤を取り出しそれを飲み干した。


「これで避難所は大丈夫です。早く行きましょう」


「あ、ああ。よしお前ら、俺に付いてこい!モンスター共に俺達の村を襲ったらどうなるか知らしめてやる!」


 ガベルの言葉に他の護衛で残っていた獣人達が鬨の声を上げ、戦線に向かって走り出した。避難所の獣人達に結界が張ってあるから安心して下さいと伝えて、俺もガベル達の後を追い戦場へと向かった。


「ガベルさん、先行ってますよ」


 ガベル達に追いつきそのまま追い越していく。戦場に舞い戻った俺は、村長さんにもうすぐガベル達が合流するのを伝えた。そしてソフィアに休憩の話をしてアペルの所へ向かう。


「アペル、お待たせ。休憩入っていいよ」


「それじゃ少し休憩してくるです」


 そう言い残すとアペルは下がっていった。アペルが下がって行くのと同時に、ガベル達が戦場に着いたようで、思いがけない援軍に再び獣人達の士気が上がったみたいだ。


 だがそこで再び視界の遠方に、一際巨大で目立つモンスターを見つけてしまった。デスニードルスコーピオンだ。アペルは休憩中なので俺とソフィアで対処するしかないだろう。先程戦った時は問題なかったが、その時は尻尾がなかった。今回は1対1だしそう易々と尻尾を切断させてはくれないだろう。


 スコーピオンの群れを処理しつつ、近付いてくるデスニードルスコーピオンにも目を配る。尻尾の先端がいつ飛んでくるか分からないからだ。射程に入ったのかデスニードルスコーピオンが体勢を低くして、尻尾の先端をこちらに向けてきた。来ると思った時には既に発射されていて、ツインエッジはスコーピオンに向けて斬り下ろしていた状態なので、大きく横に跳んでそれを回避する。尻尾の先端が俺の居た地点を通り過ぎ、少し先の地面に着弾して砂煙を上げた。これで遠距離攻撃は尻尾が再生するまでしばらく放てない。


「エクスプロージョン!!」


 デスニードルスコーピオンとその周囲に居たスコーピオン諸共、爆発に巻き込まれていく。砂煙が巻き上がり、爆発の跡地には焼かれて表面が焦げ付いたデスニードルスコーピオンだけが残っていた。しかし灰になっていないという事は死んでないという事だ。暫くの間注意深く見ていると、背中に縦の裂け目が入りその中からデスニードルスコーピオンがゆっくりと這い出てきた。脱皮をした抜け殻はたちまち灰に変わり、風に吹かれて消えていった。


 念の為脱皮をしたデスニードルスコーピオンを《鑑定》すると、ステータスが少しずつ上がっていたが脱皮したてだからか防御力にマイナスの補正が付いていた。時間が経てばマイナスの補正はなくなるのだろう。それならば早めに方を付けるのが良いかな。


 デスニードルスコーピオンに向かって駆け出す。デスニードルスコーピオンが尻尾の先端をこちらに向けてきた。脱皮していつの間にか尻尾の先端も再生していたらしい。飛来する尻尾の先端を回避するが、避けた先に更に2つも追撃が飛んできた。1発だけだと思っていたので避けるのが間に合わず右足に喰らってしまう。


 急いで自分に《治癒》を使い右足を治療する。ちょっと違和感があるけど痛くもないし問題なく動く。今の追撃は何だったのだろうかとデスニードルスコーピオンを観察する。すると尻尾の先端以外に両手の鋏の外側に付いていた杭みたいなものがなくなっていた。尻尾に集中しすぎて左右の杭の存在を失念していた。しかもそれを尻尾と同様に飛ばせるとは完全にやられた。だがこれでもう残弾はないだろう。


 再びデスニードルスコーピオンに向かって駆け出し、鋏の攻撃をデスニードルスコーピオンを飛び越えるくらいの前方への跳躍で回避する。空中で尻尾が迫ってくるが、先ほどの攻撃で先端がない。お返しとばかりに斬り刻み切断して着地する。そのまま振り向く形で横薙ぎにツインエッジを振るう。デスニードルスコーピオンも旋回していた為か、丁度目の前に片側の足が来ていて纏めてそれらが切断される。それでも動こうとしているが明らかに動きが遅く、隙だらけの横腹に《クロスインパクト》を叩き込んだら灰になっていった。

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