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大漁

 抵抗の出来なくなったダークサイズクラブを倒した後、洞窟内を進み次に遭遇したのは蛸のモンスターだった。名称フロートオクトパス、全長は1メートルくらいで水中でもないのに洞窟内を浮遊して漂っていた。魚に蟹の次は蛸か本当に海の幸が食べたくなる構成だ。今日は9層が終わったらヘルグミルの街に戻り、海の幸が売ってないか探そう。


 3体居たフロートオクトパスは水中のように洞窟内を移動して向かってきた。攻撃は単調で墨を吐くか、体当たりで身体に絡み付いてこようとしていた。アペルは墨を回避してフロートオクトパスへ間合いを詰めると、新しく取得した《剣聖術》のレベル1で使用可能な《シールドバッシュ》を使ってフロートオクトパスに一撃を浴びせた。だがフロートオクトパスの身体の柔らかさから衝撃には強く、追撃で放たれた《シャープスラッシュ》がフロートオクトパスを斬り刻む。俺とソフィアもフロートオクトパスを難なく倒すが、《剣聖術》を見たソフィアが羨ましそうにしていた。


 現在のソフィアは片手に短剣のみ所持し盾は持っていない。魔法の攻撃に切り替える時に、腰に携えている杖にすぐに持ち変えられるように片手を空けているのだ。今のスタイルだと《剣聖術》をとっても剣の技は使えるが盾の技は使えない。両手剣でも二刀流でもないので《豪剣術》も《双剣術》も取得した所であまり意味がない。そういう理由で未だ《剣術》をレベル10にした状態で止まっている。なので今は魔法の方の強化に専念していた。


 9層のフロートオクトパスはそんなに強くないかなと思っていた矢先、煙幕っぽい形で墨を拡散させて吐いてきた。今までの水鉄砲とは違いその墨は視界を塞いできた。見渡す限り真っ暗になり《暗視》を使用するが暗闇ではないので効果はなかった。慌てている俺の隣でソフィアが《換気》を使用し視界がクリアになる。確かにここは《換気》で対応できる場面だ。真っ暗だからつい《暗視》を使ってしまった。うん、落ち着こう。


 墨の煙幕には驚いたがそれ以降は何事もなく洞窟内を進み、ホワイトゲートを発見した。今日のダンジョンはここまでとし地上へ帰還する。俺もソフィアも少しレベルが上がり、アペルはレベルが1から16まで一気に上がっていた。後は安物の装備からしっかりした物へ変更すれば、守護者以外は問題なく相手取る事が出来そうだ。


 ヘルグミルの街まで戻りアペルと別れた。宿に戻って早速シェリーに海の生き物を食べる事はないのか尋ねる。帰ってきた言葉はあるにはあるが全てが高級食材で、貴族辺りじゃないと食べないのだそうだ。需要に対して供給が少なすぎる為で、漁に行くのにも海にモンスターが出る為に冒険者を雇わないといけない。漁で得たものは高値で売れるが、海のモンスターは比較的強いらしく、冒険者の賃金も馬鹿にならない為リスクに対してリターンが低い。それならば海に出るものは居なくなるだろう。


 海の幸を食べたければ高いお金を払うか、自分で取ってくるしかない。海にモンスター以外の普通の魚介類がいる事自体はラッキーだ。今日はもうシェリーが食材の準備しているし、明日にでも近場の海に行って自分で取ってこよう。ダンジョンは休業、俺は今猛烈に海の幸が食べたい。シェリーに海の方向を聞いて、その日はいつも通りのパンとスープの晩御飯を食べ眠りについたのだった。


 翌日アペルと合流して海に行く事を伝える。アペルはダンジョンでも海でも他国に連れて行ってくれるならどこでも行くですと了承してくれた。ソフィアはダンジョンに行きたそうだったが、海のモンスターは強いらしいと伝えると、海行くとやる気を漲らせていた。さて2人とも説得できた事だし海に行くぞ。


 海は意外とそう遠くなく、南西の方へ徒歩で1時間くらいだった。辿り着いた所は崖になっていてその下には小さな浜辺があった。崖から下まではそこそこ距離があり、周りを見渡すと迂回をすれば下まで歩いて向かえそうだった。


 崖の下の浜辺は下りてきた道を除けば切り立った崖に囲まれていた。さて海まで来たは良いがどうやって魚を取るかだな。船などはなく沖には出ないから釣りかな。糸はロックキャタピラー産のがまだいくつか残っているのを使えば良い。後は棒と針があれば良い。《道具》の中を探してみるが良さそうな物がなかった。《道具作成》で見ているうちに糸をいくつか使って網が作れるのが分かり、網の端に石を取り付けて投網を作ろうと考えた。流石に投網自体は《道具作成》で作れなかったのでほとんど手作業だったが、どうにか円錐状に広がる石を重りとして付けた網を作れた。ソフィアとアペルは最初は俺が何をしているのか興味があるのか眺めていたが、途中からは飽きたのか2人で砂浜で遊んでいた。


 ここからが正念場だ。海の中へ入り浅瀬の行けるところまで行き、なるべく遠くへ広がるように網を打つ。一度砂浜まで戻り網が海底まで沈んだ事を確認して手縄を回収していく。すると網から伝わる手応えを感じ期待に胸を膨らませる。結果無事に魚を捕まえるのに成功した。食べられるか分からないので《鑑定》を使い毒がないかチェックしていく。何匹か毒持ちがいたりモンスターが混じっていたりしたが、獲得した魚を《道具》の中に収納する。これを何回か繰り返して魚を乱獲して行った。あまり漁が行われないおかげか魚の危機感が少ないみたいで浅瀬でも大漁だ。釣りだったら入れ食いになりそうで楽しそうだ。今度釣り道具を用意して来れたら来よう。


 大量に魚を収穫した後、次は砂浜や浅瀬で食べられそうな貝類を探す。海に来たついでだ採れるものは採っておこうと思い探していると、遊び終えたソフィアとアペルが手伝いに来てくれた。俺はいくつか取った貝を見せて同じようなものを見つけたら取っておいてとお願いする。浅瀬の海の幸を粗方取り尽くしたかなと思い、時間も大分経ったので砂浜に集合して、ソフィアとアペルが取ってきた貝を《鑑定》で選別した。多少毒持ちの物もあったが、それは海にリリースして帰る事になった。

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