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再会

 帰り道、俺の気分は今までにないくらい高揚していた。何故かというとようやく海の幸が食べられるからだ。今まで異世界に来てからというもの食べた物は茸やパンとスープ、肉があった分まだマシだがもう少し食生活は向上してくれると嬉しい。という訳で自分で海の幸を獲得してきたわけだ。海の幸は高値で売れるらしいが売らない。取ってきた物は全て自家用で売り物では決してない。ただ海の幸の調理をシェリーが出来るかどうかだ。出来なければ記憶の糸を手繰り寄せて俺が調理するしかない。


 ヘルグミルの街に帰ってきてアペルが去って行こうとするが呼び止める。アペルも海の幸の採取に協力した訳だから一緒に食べる権利があると思い、一緒に晩御飯を食べようとアペルに話すと、海で拾った貝を食べるのに興味を持ったようで一緒に宿まで向かった。


「「ただいま」」


「お帰りなさいませ、ショウジ様ソフィアさん」


「お邪魔しますです」


「シェリー、紹介するね。この前言ってた人族の友達を探している獣人のアペル。それでこっちが……」


 アペルにもシェリーを紹介しようとアペルのほうを向くと、アペルが目を大きく見開いて固まっていた。ソフィアが固まっているアペルに対して指でつついて反応を伺ったがまったく動かない。


「あれ、アペルどうしたの?」


「……しーちゃん。しーちゃん!」


 アペルがいきなりシェリーに飛びついて抱擁をする。シェリーも表情に変化はないが固まっていたようでなされるがままになっていた。どうやらシェリーがアペルの探していたしーちゃんらしい。シェリーも昔この街に住んでいたというし、よく考えていれば答えに辿り着けていたかもしれないが、結局出会えたのだから良しとしよう。


「あーちゃん、久しぶりですね」


 硬直から復活したシェリーがアペルとの抱擁を交わしていた。その後アペルはしばらくシェリーから離れようとはしなかった。感動の再会なので許すが、その所為で楽しみにしていた海の幸の晩御飯が遅れてしまった。


 結果シェリーは海の幸の調理も出来たので、アペルをシェリーから引き剥がし準備に取り掛かってもらった。アペルがなかなか離れようとしないので、シェリーが一言邪魔ですと言うとようやく離れた。アペルが可哀想だったので晩御飯までアペルの相手をソフィアにしてもらった。ソフィアは昼間浜辺でアペルと遊んでからそれが楽しかったようで、アペルと一緒に今も遊んでいる。多分ソフィアはエルフの集落で苛められていたので、遊び相手も居なく1人で遊ぶしかなかったのだろう。2人とも楽しんでいるみたいなので放っておく。


 魚の焼ける良い香りが俺の鼻腔を刺激してきて涎が止まらない。暫くしてやっと料理が運ばれてきた。待ちくたびれたが今夜はご馳走だ。魚の丸焼きに貝も砂抜きをして丸焼きである。とりあえずは素材そのままの美味しさを活かして食べる事にした。採ってきた魚介類は全てシェリーに渡してあり、パンやスープとローテーションで出してもらえるように指示を出した。今度は気が向いたら山の幸でも取りに行くのもいいかもしれない。


 まずは魚の身を剥いて口に運ぶ。ほのかな塩っ気が白身の旨みを引き出している。味自体は秋刀魚に似ているかもしれない。そして貝の方も口にする。ぷりぷりした柔らかい歯応えは、異世界に来てから味わっていなかった物でやはり美味しい。これは歯応えも味もホタテに近くて、もしバターが異世界にあったら是非バター焼きにしたい所だ。皆も美味しいと舌鼓をうち、海の幸の虜になってしまったようだった。


 食事中もシェリーに怒られた為、別々に座って食べていたが、食事の時間が終わるとアペルは再びシェリーにベッタリとくっ付いて離れなくなった。いやもう本当にどこぞのカップルだと思うくらいにシェリーの腕に絡み付いている。これは引き剥がすのは困難だと思い、シェリーには悪いが気が済むまでさせようという事になった。


 夜も遅くなりアペルは帰る気もないらしい。仕方がないので諦めて寝る事にしたが、寝床は3つしかなく俺の所は勿論却下だが、ソフィアかシェリーならシェリーの所だろう。シェリーから離れないし一緒に寝てもらうしかない。シェリーごめん、アペルが寝付くまで大変そうだが俺は先に寝るよ。


 翌朝シェリーがいつも通り先に起きていて挨拶をする。テーブルで寛いでいるとアペルも起きてきて、ようやく満足したのかシェリーにベタベタする事はなかった。


「アペルおはよう、落ち着いた?」


「おはようです。この街で探すのを諦めていた所なのに、まさかしーちゃんに会えると思ってなかったのです。昨日は皆さんにはしたない所をお見せしたです」


「まったく、あーちゃんはもう少し加減というものを覚えてください」


「ごめんなさいです」


 怒っているシェリーも怒られているアペルも2人とも、何だかんだ言って顔が綻んでいて嬉しそうにしていた。アペルはシェリーを見つける事が出来た訳だが、それなら他国への移動は必要なくなったのかなと思い、今後はどうするのかアペルに確認する。すると、出来ればシェリーと一緒に居たいと言うので、正式にパーティーに加入となったのだった。

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