タランドーさんの依頼
冒険者ギルドでプリメラさんを捕まえ、守護者戦の事を伝える。やはり二人で守護者は厳しく、プリメラさんの言う通りだったと。
「無事に帰ってきてくださって私は嬉しいです。10層の守護者が最初の壁になってまして、挑戦して帰ってこない冒険者さんも多いのです。」
「危うくソフィアが死んでしまう所でしたけどね」
「あれは避けれなかった私の失態。次は足を引っ張らないようにもっと強くなる」
俺もソフィアも強くならないとという気持ちは同じみたいだ。だからって今日は休日にしたんだからダンジョンは行かないと釘を刺しておく。じゃないとソフィアはすぐダンジョンに行きたがるのだ。
「そういえばショウジさんに指名の依頼が来ていたんですよ」
「俺指名って、誰が?」
「依頼主は商人のタランドー様ですね。前回の盗賊討伐の時にお世話になったとか仰ってました」
依頼者はタランドーさんか。そういえばあれから会っていなかった。ソフィアとダンジョン生活で忙しかったし仕方がない。それにしても依頼とは何だろうか。
「依頼内容は東南のヘスペル王国へ行かれるそうで、その護衛をお願いしたいとの事です」
ヘスペル王国は人族の領地東南にあり、獣人の領地に面している王国だ。ヘスペル王国の北にはヴァナガルド王国があり、そちらは妖精族の領地に面している。そして俺がいるラグゼニア王国がこの二つの国の西にある。ラグゼニア王国は西に魔族の領地、北は少し妖精族の領地に面している。人族の領地は以上の3つの国に分かれているが戦争などはしていなく、他の種族に対抗するべく同盟を組んでいる。
その中でも西の魔族との戦争が多く、東南の獣人族は戦争はしないがそれほど仲が良いわけではない。北の妖精族はドワーフとの交流もあり、仲は良いらしい。ヴァナガルド王国に行けばドワーフなどの妖精族を町中で見ることも多いそうだ。何それすごく行ってみたい。
でも護衛の依頼を受けるとなると、かなりの遠出になってしまう。即断は出来ず、宿に戻ってシェリーと相談だ。
「依頼の返答は明日でも良いですか?」
「はい、まだタランドー様も準備中らしいので、返答は明日で構いませんよ」
明日また来ると告げて冒険者ギルドを出て、宿へと向かう。宿には既にシェリーが帰って来ていたようで、俺達を出迎えてくれた。
「シェリー、ちょっと話があるんだけど良いかな?」
シェリーを呼んで、先程聞いた冒険者ギルドでの依頼の件を話す。ヘスペル王国まで行くとなると、結構な日数がかかると思う。その間シェリーはどうするか聞いてみた。
「もちろんショウジ様に付き添ってお世話させて頂きます。もし私だけが居残ったとしても、宿代などの経費も馬鹿にならないでしょう」
確かにその通りだ。それならシェリーも一緒に来てもらった方が良いだろう。聞いた話だと護衛中に稀に遭遇するモンスターを倒した時の素材も貰えて、道中の食事も依頼者負担という美味しい話らしい。
モンスターが稀にしか遭遇しないのに、護衛が必要な理由は簡単で、盗賊が居るからだ。特にヘスペル王国はラグゼニア王国やヴァナガルド王国に比べて治安が悪い。獣人族と大きな戦争はないが、小競り合いは頻繁に起きているらしく、普通の人族の奴隷もいるが、獣人の奴隷が特に多く、その奴隷を多数所持している商人を盗賊が狙っていた。そんな訳で護衛が必要な訳だ。
ダンジョンの攻略もしたいが気分転換で他の国を見て回るのも良いだろう。ダンジョンは何処にでもあるらしいし、そっちのダンジョンに行けば良い。ソフィアもシェリーも同意は貰えた。明日プリメラさんに依頼を受けると伝えに行こう。
そして翌朝、冒険者ギルドに出向いた俺はプリメラさんに依頼を受ける事を伝えた。ちなみにソフィアとシェリーは旅の準備で買い出しに行っている。冒険者ギルドの応接室みたいな所で待たされ、冒険者ギルドの職員が呼びに行っていたのか、暫くしてタランドーさんがやって来た。
「久し振りだな、ショウジ君。この度は護衛の依頼を受けてくれてありがとう」
「俺も他の国とか見てみたかったので丁度良かったです」
タランドーさんが右手を差し出してきたので、俺も差し出して握手する。お互い椅子に座り依頼の内容を詰めていく。こちらの要望としては、パーティーメンバーのソフィア以外にメイドのシェリーも一緒に連れていく事だが、これはあっさり許可された。それであればもうこちらからは何も言うことはない。後はタランドーさんの述べた内容を確認して問題なければオッケーだ。予定は馬車で片道5日程、滞在は1週間程だそうだ。この世界にも馬はいるそうで移動手段に使われているみたいだ。
最後に出発日の確認をして、明日出発となった。こちらの準備はシェリー達がしているし、元々宿暮らしで大した荷物もない。タランドーさんのほうは準備が今日中に終わりそうとの事だった。明日の日の出の時間に東門の手前で待ち合わせをして、その日は解散となった。
そういえば装備屋のおっちゃんにもしばらく会えないだろうから、挨拶しに装備屋に寄って護衛の依頼でしばらく街を離れることを告げて宿に帰った。宿屋の主にも明日からヘスペル王国に出かけるので宿泊は今日までと伝え、あらかじめ数日分支払っていたお金はそのままチップとして受け取ってもらった。帰ってきた時にはまた宿泊に使わせてもらうだろう。
部屋に戻るとシェリー達が部屋を片付けていた。明日の早朝、日の出の時間に東門集合だと伝えると、シェリーから準備は出来てますと返ってきた。その日は皆で部屋の片付けをし晩御飯を食べて、翌日が朝早い為さっさと寝る事にしたのだった。




