5.おじさんは魔法を使う
レスト君の部屋を物色して数分。残念ながらレスト君のお宝も、僕自身も見つからなかった。やはり自分探しというのは外へ出て自らの足で行うべきものなのかもしれない。
「…………で。おっさん。満足か?」
レスト君は腕を組んでため息をつく。
「いや。まだ満足ではないよ。何も見つかっていないからね。」
「い、いい加減諦めろよな…。」
「諦める?まさか!僕は決めたよ!必ずレスト君の隠し持つお宝を探し出すと!」
「だからやめろって!!」
悪いが静止を聞くつもりはない。僕は唱える。
「せっかくの機会だ。僕の魔法を見せてあげよう。『サーチアイ』!!」
瞬間、周囲を緑色の粒子が包む。砂粒ほどのそれは、小さく動きながらも空気中を漂う。
「な、なんだこれ。これが魔法…なのか。」
「あぁ。これが僕の魔法『サーチアイ』。辺り一帯何でもお見通しになる魔法さ。」
僕の視界は先までとうってかわり、変化を見せる。
ただの部屋。ただの人影、ではない。見えるのは線のみの世界。設計図のように立体的に物が構成されている世界。
これにより僕の視界は物から人に至るまでの全てを見通せる。
「おっ。そこの棚の後ろ。不自然な物が置いてあるね。本みたいな形だけれど…。」
「わー!本じゃねぇ!なんでもねぇ!気のせいだ!」
「それは確かめてみないと分からないよ。」
「やめろ!よるな!棚から離れろおっさん!!」
レスト君はものすごい力で僕の裾を引っ張る。よほど見せたくないものでもあるようだ。
ここは退くのが歳上の役目かもしれない。まぁ、それならば初めからお宝なぞ探すなと言う話なのだが。
僕は前へ進むのをやめて立ち止まる。
「とまぁこんな風に、魔法というのは便利なんだよ。」
「そ、そう、かよ。は、はぁ、はぁ。」
「どうしたんだい?レスト君。随分疲れているねぇ。」
「お前のせいだよ!!」
座り込みながらも叫ぶ。
なんだか少し可哀想になったので、代わりと言っては何だが、レスト君にある提案をすることにした。
「そうだ。レスト君。せっかくだ。君も魔法を使ってみないかい?」
「え。俺が…?」
「そう。君が。きっと魔法を使えるようになればもっと強くなるさ。」
「…………………。」
僕の提案にレスト君は目を見開く。後、身体を前のめりにして食いついてきた。
「や、やる!使う!教えてくれ!」
「もちろん。それじゃあさくっと魔法を使って、もっと強くなろう。」
レスト君への魔法講習スタートだ。




