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おじさんは放浪中!  作者: とんぼ。


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22/25

22.青年はケジメをつける

 頭を抱えてしゃがみ込む青年を見下ろしながら、口を開く。


 「僕はお喋りだからね。特別に教えてあげよう。」


 青年と目線が合うように、僕もまた膝を折る。そして、彼の顔を見る。


 苦痛、不安、無理解。まぜこぜの感情が噴き出していた。


 「僕の魔法『サーチアイ』は周囲の物、全てを見取り図のように俯瞰することができる。………それを君にかけた。それだけだ。」


 見取り図のように、と説明した通り『サーチアイ』を使用したあとの視界は線のみの世界になる。

 言ってしまえば簡単だが、それだけで終わりではない。


 突然見える世界が変わるのだ。慣れるまではマトモに立つことすらままならないだろう。

 人によっては酩酊した状態のように視界が歪んだり、まっすぐ歩くことすらできないのだから。


 「……さて。それで。」

 「!」


 本題に入ろうと、青年の指をそっと握る。


 「君は言っていたね。レスト君を殺してでも槍を奪うと。」

 「そ、それがなにさ。もしかして、人殺しはよくないなんて、綺麗事言うつもり?」

 「まさか。」


 この状況でも啖呵を切る青年に少し感心する。だが、その威勢もいつまで続くかは分からないが。


 「僕はね、道徳を説きたいんじゃない。聞いているのは覚悟さ。」

 「かく、ご…?」

 「そう。」


 握っていた指の関節。そこを力を入れて上へと引っ張る。


 「君は一人の命を奪ってでも目的を果たそうとした。それは結構。けれど、逆は?君が返り討ちにあう可能性は?もちろん考慮していただろう?」

 「…な、……ぁ゙、!?」


 まずは一本。人差し指を上へと折り曲げる。小さく、音がした。


 「覚悟とケジメはセットだ。君はいま、目的を果たすのに失敗した。なら、ケジメをつけないとね。」

 

 中指へと手を伸ばす。二本目。


 「ひ、ッ、やめ、」


 先までの威勢はどこへやら。青年は目尻に涙を浮かべて、僕を見る。まったくもって無意味なことに。


 

 「君、歳はいくつだい?子供、という歳じゃないだろう。なら、自分の尻ぬぐいは自分でしないとね。」


 三本目。指が青紫色に変貌し始める。


 そこで、青年の意識は途絶えた。


 たかが指三本。たったそれだけを折られた痛みで気を失ったのだ。


 「起きて。まだケジメはつけ終えていないよ。」


 目を覚まさせるために、四本目と五本目を一気にいく。


 「ッ、がぁ、!」


 目が覚めたようだ。


 残り五本。それが彼の残りのタイムリミットである。

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