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おじさんは放浪中!  作者: とんぼ。


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12/25

12.おじさんは提案する

 レスト君と僕。それから襲撃をしてきた少女。僕ら3人は晴れて旅をする仲間となった。


 「それで、君の名前は?肝心なことを聞いていなかったよ。」


 僕の問いに少女はすんなりと答えた。


 「サヤよ。言っておくけど馴れ馴れしく呼ばないでちょうだいね。」


 そんなつっけんどんな言い口に、レスト君が言葉を返す。


 「じゃあなんだ?サヤさまーってでも呼べば良いのか?」


 嘲るような、なおかつ明確に挑発する意図を持った調子に、負けじと少女もといサヤは鼻を鳴らして言葉を重ねる。


 「えぇそうしなさい。貴方は特に。生意気だもの。」

 「生意気ぃ?お前、俺に負けたの忘れたか?」

 「そ、それとこれとは話が違うでしょ!」

 「そうだそうだ。そんな事を言っているともてないぞレスト君。」

 「だからもてなくていいっつぅの!」

 「だからおじさんは黙ってなさいってば!」


 不思議なことに、2人は僕をなじるときはいっそう息が合ってしまうようだ。

 仲睦まじいのは良いことだが、それはそれとして寂しい。


 「…………そうだね。僕はおじさんだもんね…知ってるよ。でも好きで歳を重ねたわけじゃないんだ……。」

 「あー!おっさんがまたへこんじまったよ!」

 「な、なんでそんなにメンタルが弱いのよ!」

 「僕はおじさんだから…へこみやすいんだ……。」


 仰々しく顔を埋める。涙が出ることはないが、それはそれとして2人はかなり心配してくれているようだ。

 

 その甲斐あってか、僕の心もだいぶ落ち着いてきた。


 「ところでこれからどうする?」

 「ど、どうって?」


 突然落ち着いた僕に驚いたのか、レスト君は僅かに動揺しながら言葉を反復する。


 「ほら。旅、するんだろう?目的地がないとつまらないと思ってね。しばらく目指す場所でも決めないかい?」

 

 その問いかけに、2人はそろって首を捻る。どうやら行き先らしい行き先が思いつかないらしい。

 だがこれはこれで好都合だ。


 「特にないのなら、僕が案を出してもいいかい?」

 「構わねぇけど、何処にいきてぇんだ。」

 「それはね……ここさ。」


 そう言って1枚のチラシを取り出す。


 そこにはカラフルな文字と絵が載っかっており、大きく目立つところにはこう記してあった。


 「サーカス?」


 サヤ君が声を出すのと同時に、不思議な顔を覗かせる。


 「おじさん、サーカスに行きたいの?」

 「あぁ!そうさ!楽しそうじゃないかい?玉から玉に飛び乗ったり、猛獣を使役して火の輪を潜らせたり……!実はサーカスに入るのが僕の夢だったんだ…!」


 奇抜な衣装を身に纏い、ステージ上でライトと視線を一身に浴びる。それはなんと気持ちの良いことだろう。


 「へぇ。そうだったのか。ならいけんじゃねぇか?食費もかからなそうだしよ。」

 「そうね。躾もそう苦労しなさそうだもの。」

 「言っておくけど猛獣としてじゃないからね!?人としてだよ!!」

 「なんだ。そうなのか。」

 「あら。残念ね。」


 全く2人は僕を何だと思っているのか。いま一度聞いておく必要がありそうだ。

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