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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第227話 第二聖女40

「失礼します」


 ザスキア様の執務室を出た後。

 ボク達は神殿の廊下を歩いていた。

 白い壁。

 静かな空気。

 でも。


(違う)


 前までと。


「……本当に動きましたわね」


 アデリナ様が小さく呟いた。


「うん」


 ボクは頷く。


「ザスキア様ですわ」


 一拍。


「今までは、“見ているだけ”でしたもの」


 ロランスも少し驚いた顔をしていた。


「記録を増やせって、はっきり言ったもんね」


「うん」


 頷きながら返事をする。


(進めた)


 ボクは思い返す。

 今までなら。


『見ています』


 それだけだった。

 でも今回は違う。


『消せない形へ変えるのです』


 そこまで言った。


(変わった)


 神殿側が。

 少しだけ。


「第二聖女様」


 声がして、振り返ると神官が立っていた。

 年は若い。

 少し緊張している。


「ザスキア様より」


 一礼。


「記録官を付けるよう指示がありました」


 空気が止まる。


「……記録官?」


 ロランスがきょとんとする。


「はい」


 神官は頷いた。


「今後の現場確認」


「証言取得」


「物資移送」


「全記録を神殿名義でも保管します」


 沈黙。


(来た)


 アデリナ様が小さく笑う。


「なるほど」


「神殿保全ですわね」


「ええ」


 神官は静かに頷いた。


「監査前記録消失を防ぐため、と」


 ロランスが目を見開く。


「そこまでやるの?」


「うん」


 ボクは短く返した。


(公認になった)


 ロランスが少しだけ息を呑んだ。


「……これ、もう後戻りできない感じする」


「うん」


 ボクは頷く。


「神殿も入ったから」


 一拍。


「もう、南区だけじゃない」


 完全じゃない。

 でも。


(変わった)


 今までは。

 第二聖女が勝手に動いている。

 そういう形だった。

 でも今は違う。

 神殿記録官。

 神殿名義。

 保全。


(残る)


「これで」


 アデリナ様が小さく息を吐いた。


「管理局側は、“第二聖女の独断”と言いづらくなりましたわね」


「うん」


「神殿名義だから」


「こちらです」


 神官の後ろ。

 一人の女性が前へ出た。

 白衣。

 薄い青の記録紐。

 細い筆。

 静かな目。


「記録官、セレスと申します」


 一礼。


「本日より同行します」


 アデリナ様が視線を細めた。


「監視ではなく?」


「保全です」


 セレスは即答した。


「事実記録を行います」


「記録は監査室へ直接保管されます」


改竄かいざん防止印も使用します」


 ロランスが少し驚いた顔をした。


「そこまで?」


 静か。

 でも。


(消させない)


 ボクは少しだけ笑った。


「うん」


「じゃあ行こう」


 一歩。

 神殿側も。

 もう。


(入った)

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