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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第226話 第二聖女39

「失礼します」


 神官に案内されて、ボク達はザスキア様の執務室へ入った。

 白い部屋。

 静かな空気。

 でも。


(前と違う)


 神殿全体が、少し動いている。


「座りなさい」


 ザスキア様が静かに告げる。

 ボク達は向かいへ座った。


「……随分と広がりましたわね」


 アデリナ様が先に口を開く。


「ええ」


 ザスキア様は頷いた。


「南区だけではありません」


「神殿内でも」


「既に複数の相談が上がっています」


 やっぱり。

 届いている。


「商人」


「住民」


「孤児院関係者」


 一つずつ。

 ザスキア様は並べていく。


「証言も増えています」


「うん」


 ボクは頷いた。


「物証も出始めました」


 グレッグの紙。

 あれももう届いているんだろうね。


「ええ」


 ザスキア様は静かに肯定した。

 一拍。


「ですので」


 空気が少し変わる。


(来る)


「確認したいのは現状ではありません」


 ザスキア様はボク達を見る。


「方針です」


 静かに。

 はっきりと。

 沈黙が執務室に流れていく。


「……方針?」


 ロランスが小さく呟いた。


「ええ」


 ザスキア様は頷く。


「ここから先」


「管理局との対立はさらに深くなります」


 ザスキア様は表情を変えずに分析する。


「王国側も介入するでしょう」


「監査も始まる」


 一つずつ。


「そして」


 一拍。


「失敗した場合」


「責任は第二聖女へ向きます」


 静かだった。

 でも。


(重い)


 アデリナ様も黙って聞いている。


「ですので」


 ザスキア様は続ける。


「ここで止めることも可能です」


 空気が止まる。


「監査へ引き継ぎ」


「現場介入を終了する」


「それも一つの判断です」


 逃げ道。

 いや。


(確認だ)


 覚悟を。


「ポラリス嬢」


 ザスキア様がボクを見る。


「続けますか?」


 静かに。

 真っ直ぐ。

 ボクは少し考える。

 南区、列、商人、孤児院、神殿。

 止められた流れ。

 それを思い出す。


「……止めたら」


 一拍。


「戻る」


 短く。


「隠れる」


「消える」


 ザスキア様は何も言わない。


「だから」


 ボクは息を吸う。


「続ける」


 短く。

 でも、はっきりと。

 沈黙はまた流れる。

 ロランスが少し不安そうにこちらを見た。

 アデリナ様は、小さく笑っていた。


「そう答えると思っていましたわ」


「うん」


 ボクは頷く。


「では」


 ザスキア様が静かに目を閉じる。


「方針は継続」


 一拍。


「記録を増やしなさい」


「監査前に」


「消せない形へ変えるのです」


 沈黙。

 ロランスが少しだけ目を見開いていた。


(……言った)


 静かな声。

 でも。


(動いた)


 今までのザスキア様なら、「見ています」だけだったのに。

 でも今は違う。

 今までより。

 少しだけ。

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