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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第223話 第二聖女36

「……私も見ました」


 ミナの後ろ。

 列に並んでいた男が、小さく声を上げた。


「札?」


 ボクが問いかける。


「……ああ」


 男は頷いた。


「裏列だろ」


「先に通されてた」


「俺、追い返されたし」


 さらに声が出てくる。


「うちもだ」


「紙来たぞ」


 商人街の方でも声が出始める。

 グレッグだけじゃない。


(増えた)


 アデリナ様が記録を書き続ける。


「日時を」


「来た日は覚えています?」


「誰が持ってきましたの?」


 一つずつ。

 丁寧に。

 ロランスも少し驚いていた。


「……こんなに?」


「うん」


 一個じゃない。

 最初から。


(繋がってた)


「第二聖女様」


 今度は孤児院側の職員。


「これも……関係ありますか」


 帳簿を差し出してくる。


「減った日、同じなんです」


 ボクは見る。

 三日前。

 五日前。

 七日前。


(揃ってる)


「……線になってきましたわね」


 アデリナ様が小さく呟く。


「うん」


 ボクは頷いた。


「残る」


 これなら。


(消えない)


 その時だった。


「何をしている」


 低い声。

 空気が止まる。

 振り返る。

 役人が立っていた。

 それも、二人。

 前より多い。


(来た)


「第二聖女による無許可聴取は禁止されています」


 静かな声。

 でも。


(早い)


「禁止?」


 ボクはきょとんとしながら聞き返す。


「ええ」


 役人は頷く。


「現在、南区配給問題は正式監査対象です」


「関係者への接触は」


「混乱誘発行為に該当する可能性があります」


 周囲の空気が少し変わる。

 ミナが下を向く。

 商人達も黙る。


(止めに来た)


 アデリナ様がゆっくり前へ出た。


「確認ですが」


 静かに。


「聴取禁止命令は正式発令済みですの?」


 その問いかけに役人が止まる。


「……監査保全措置です」


「文書は?」


 一拍。


「現在準備中です」


(ない)


 ボクは見る。


「じゃあ」


 一歩。


「まだ禁止じゃないね」


 ボクはにっこりとしながら、詰め寄った。

 役人の表情が少し歪む。


「第二聖女」


「監査妨害と判断された場合――」


 役人は圧力をかけようとしていたけれど。


「違う」


 ボクは被せた。


「残してるだけ」


 短く。


「消えないように」


 周囲が静かになる。

 ミナがこちらを見る。

 商人も。

 孤児院職員も。


「……」


 役人が黙る。


(弱い)


 まだ。

 正式じゃない。


「それに」


 アデリナ様が続けていく。


「こちらは正式監査前の現場確認継続を認められています」


「会議記録にも残っていますわ」


 役人の顔が止まる。


(刺さった)


「……記録取得は必要最小限にしてください」


 少し引いた。

 完全には止められない。


「うん」


 ボクは頷く。


「だから急ぐ」


 短く。

 役人達が去っていく。

 少しざわめきが戻っていって、人々の表情も和らいでいるみたいだった。

 ミナがまた話していった。

 でも。


(近い)


 もう。


(時間がない)

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