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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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221/223

第221話 第二聖女34

 会議室を出る。

 全員が出ていったのを確認して侍女が扉を閉めた。

 途端に、空気が少しだけ軽くなる。

 でも。


(終わってない)


 ボクは廊下を歩く。

 白い壁。

 静かな神殿。

 後ろで、椅子を引く音がまだ少し聞こえていた。


「……疲れましたわね」


 アデリナ様が小さく息を吐く。


「うん」


 短く返す。


「思った以上に、正面から来ましたわ」


「うん」


 今回は隠していない。

 止めに来ていた。

 はっきりと。


「怖かったよ、大丈夫だった?」


 ロランスが後ろから呟く。

 彼女は会議には参加していない、不安そうな表情を見せていた。


「大丈夫」


 ボクは苦笑いしながら答える。

 少しロランスは表情を和らげた。


「そうですわね」


 アデリナ様が歩きながら言葉を続ける。


「監査自体は通しましたわ」


「うん」


 ボクも頷く。


「管理局側責任も固定しました」


 小さく整理するように。


「完全には負けていません」


「うん」


 でも。


(三週間)


 長い。


(消える)


 ボクは思う。


「ポラリス嬢」


 アデリナ様がこちらを見る。


「考えていることは同じですわね?」


「うん」


 一拍。


「時間稼ぎ」


 短く。


「ええ」


 アデリナ様も頷いた。


「監査までに整理するつもりですわ」


「帳簿」


「流通」


「記録」


「全部」


 ロランスが再び不安そうにこちらを見る。


「……消されるの?」


「うん」


 即答。


「たぶん」


 沈黙。

 廊下に足音だけが響く。


「じゃあ」


 ロランスが不安なまま問いかけた。


「じゃあ……時間ないんだ」


「うん」


 ボクは頷く。


「今から」


 一拍。


「固定する」


「固定?」


「残す」


 短く話す。


「流れ」


「人」


「場所」


「証言」


「全部」


 アデリナ様が小さく笑った。


「監査前に、“消せない形”へ変えるのですわね」


「うん」


 止められる前に。

 消される前に。


「でも」


 ロランスが少し困った顔をする。


「どうやって?」


「広げる」


 短く答えていく。


「え?」


「一個だと消える」


 一拍。


「増えると消えない」


 孤児院。

 商人。

 列。

 住民。


「……なるほど」


 アデリナ様が頷く。


「一箇所の問題ではなくすのですね」


「うん」


「王都全体へ広げる」


 そうなれば。


(隠せない)


 ボクは歩き続ける。


(急ぐ)


(止まる前に)


(全部)

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