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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第219話 第二聖女32

 沈黙が、会議室を包んでいた。

 管理局側は動かない。

 でも。


(待ってる)


 返答を。

 ザスキア様の。


「……なるほど」


 静かな声。

 ザスキア様は、ゆっくりと視線を上げた。


「管理局側の主張は理解しました」


 感情は見えない。


「監査準備期間が必要であることも認めます」


 管理局側の男が、わずかに息を吐く。


(安心した)


 でも。

 ザスキア様は続けた。


「ですが」


 空気が変わる。

 男の表情が止まった。


「南区配給問題は」


 一拍。


「現在進行中です」


 静かに述べていった。

 落ち着きながら男を見ている。


「監査開始までの間」


「現場確認を停止する理由にはなりません」


 会議室が静まり返る。


「……聖女様」


 男が口を開く。


「不用意な介入は――」


「不用意ではありません」


 被せた。

 初めてだった。

 ザスキア様が、相手の言葉を切ったのは。


「第二聖女は」


「現時点で実際に配給維持へ関与しています」


「現場流通も継続している」


 ボク達を少しだけ見ながら、言葉を続けていく。


「加えて」


 一拍。


「管理局側は」


「供給減少との関連性を否定しました」


 男が止まる。


「であれば」


「第二聖女による確認継続を妨げる合理性は存在しません」


 静かに淡々と。

 でも。


(逃げられない)


 王国側文官が、小さく頷いた。


「……確かに」


 神官達も黙って聞いている。


「ですので」


 ザスキア様は続ける。


「正式監査開始までの間」


「第二聖女による現場確認と配給補助を認めます」


 空気が完全に変わった。

 管理局側の男が、初めてはっきりと顔を歪める。


(切った)


 逃げ道を塞いだ。


「ただし」


 ザスキア様は付け加えていった。


「監査対象保全のため」


「第二聖女側も活動記録を提出しなさい」


 今度はボク達を見る。

 ボクは息を飲んだ。


「配給変更」


「物資移送」


「商人接触」


「全てです」


 静かに、内容を述べていく。


「記録を残しなさい」


 ボクは少しだけ目を細めた。


(見てる)


 管理局だけじゃない。

 ボク達も。


「できますね?」


 ザスキア様が問いかけた。


「うん」


 ボクは頷く。

 アデリナ様も同様に。


「残してる」


 最初から。

 アデリナ様も、小さく笑った。


「提出可能ですわ」


 管理局側が黙る。


(想定外)


 ボクは見ていた。

 空気の止まり方を。

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