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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第216話 第二聖女29

 会議室は静まり返っていた。

 管理局側の男は、すぐには答えない。

 指先が、机の上の書類を軽く叩く。


(止まった)


 考えている。

 どっちに転んでも、不利になるから。


「……現地確認には正式手順があります」


 男は話していった。


(逃がした)


「監査申請」


「立会人」


「事前承認」


「記録官」


 一つずつ並べていく。


「会議中に即時確認など行えません」


 静かに。

 でも。


(拒否した)


「なるほど」


 ボクは短く返す。


「じゃあ」


 一拍。


「止めてないかは、確認できないんだ」


 男の眉が少し動いた。


「手順の話です」


「違う」


 即返答する。


「確認できないって話」


 空気が張る。


「第二聖女」


 男の声が少し低くなる。


「正式監査を軽視するのですかな?」


「してない」


 ボクは首を振る。


「でも」


 一拍。


「止めてないなら」


「困らないよね」


 また同じ場所へ戻す。

 逃がさない。

 神官の一人が小さく息を吐いた。

 王国側文官も、管理局側を見ている。


「……秩序維持の問題があります」


 男が続ける。


「現在、南区は混乱状態です」


「第二聖女介入によって」


 戻した。

 やっぱり、糾弾したいんだ。


(また)


「ですので」


「不用意な現地確認は」


「さらなる混乱を招く」


 淡々と述べていった。


「なるほど」


 アデリナ様が静かに口を開いた。


「つまり」


「現地を確認されると困る状況なのですわね?」


 淡々としながら。


「違います」


 男が即座に否定する。

 でも。


(速い)


 アデリナ様も気付いてる。


「では」


 今度は王国側文官。


「正式監査を行えば問題ないのですね?」


 空気が少し変わった。

 管理局側の男が止まる。


「……監査内容によりますな」


 濁した。


(逃げた)


 ボクは見ている。

 神殿側も。

 そして。


「では」


 静かな声。

 口を開いたのは、ザスキア様だった。

 今までずっと黙っていたけれど。

 その瞬間、何人かが姿勢を正していて、管理局側が視線を上げていた。


「管理局は」


 一拍。


「正式監査そのものを拒否するのですか?」


 空気が止まった。

 紙をめくる音が消える。

 完全に。

 誰も動かなくて、管理局側も返答出来ていなかった。

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