第205話 第二聖女18
「……止めませんのね」
扉が閉まった後、アデリナ様が小さく呟いた。
廊下をゆっくりと歩きながら。
「うん」
ボクは短く返す。
「完全に、任せる形ですわね」
アデリナ様はザスキア様を思い返すように言葉を。
「見てるだけ」
ボクも同調する。
止めないで、壊れるかも含めて、だろうね。
「ええ」
一拍。
「試されていますわ」
「うん」
色々と判断するためだろうけれど。
「ですが」
少しだけ間。
「随分と、危うい試し方ですわね」
「うん」
神殿を出ていって、場所を移す。
ボク達は学院に戻って、ロランスと共に話していく。
ロランスは聖女候補で止まったから、学院で過ごしている。それでも手伝って貰ったりしている。
「止めないってことは」
紅茶を飲みながら話していく。
「壊れてもいいってこと?」
ロランスが呟いた。
「違う」
否定する。
「壊れないか」
一拍。
「見てる」
沈黙。
「……なるほど」
アデリナ様が顎に拳を当てながら言葉を。
「“正しい形”ではなく」
考えを整理していく。
「“崩れない形”を見ているのですわね」
「うん」
ボクは頷いた。
「だから」
苦笑いしながら言葉を続ける。
「歪んでてもいい」
「回れば」
短く。
王国のためになるのなら。
「冷たいですわね」
アデリナ様も苦笑い。
「うん」
ボクは頷いた。
「でも」
「止まるよりいい」
アデリナ様が小さく息を吐く。
「本当に、その考えで押し通すのですわね」
「うん」
「なら」
アデリナ様は紅茶を飲みながら。
「こちらも、徹底するしかありませんわね」
「何を?」
ロランスが問いかけた。
「流れの掌握ですわ」
「掌握?」
「どこで止まり」
ボク達へ説明するようにアデリナ様は続けていく。
「どこで流れ」
「誰が握っているか」
「全部、見る」
ボクは頷く。
「うん」
「次」
「どこ行くの?」
ロランスは問いかけた。
「追う」
短くボクは答える。
「札、人、上」
一拍。
「決めてるやつ」
静かに言葉を。
「……敵、ですわね」
瞳を軽く閉じながらアデリナ様は呟く。
「うん」
「でも」
一拍。
「まだ見えてない」
「ええ」
アデリナ様は同意する。
「だから」
「出させる」
短く。
「どうやって?」
ロランスは訊いてきた。
「流す」
それにボクは答えていく。
「え?」
「全部」
「止まらないように」
一拍。
「そうすると」
思い浮かべながら。
「困るやつが出る」
沈黙。
「……ああ」
アデリナ様が頷きながら言葉を。
「止めていた側ですわね」
「うん」
「そこを引きずり出す」
軽く息を吐く。
「面白いですわね」
微笑みながらアデリナ様が言葉を。
「うん」
「ですが」
一拍。
「こちらも止められますわよ」
「うん」
「その時は?」
「押す」
即答。
「止められる前に」
「広げる」
短く。
「なるほど」
「速度勝負ですわね」
「うん」
紅茶を飲み干した。
「では」
ボク達は片付けながら立ち上がる。
「急ぎましょう」
アデリナ様が歩き出す。
「うん」
ボクも続く。
「頑張って」
ロランスが応援してくれる。
「あたしは学院から見てる。でも、必要なら呼んで」
「ありがとう」
(止まらない)
(回す)
(全部)




