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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第200話 第二聖女13

 列は、確かに整った。

 最初から並び直された一列。

 札も関係ない。

 順番も同じ。

 形だけなら、正しい。

 でも。


「……進まない」


 誰かが呟いた。

 配給の手が、遅い。

 明らかに。

 一人。

 二人。

 三人。

 間が空く。


(遅い)


 さっきまでとは違う。

 前は、もっと速かった。

 でも、それは――


(選んでたから)


 ポラリスは見ている。

 配る側の動き。

 迷っている。

 誰に渡すか。

 今までは決まっていた。

 札で。

 でも今は違う。


「次……」


 役人の声が詰まる。

 視線が泳ぐ。

 列を見る。

 人を見る。

 手を見る。

 決められない。


「まだかよ」


 後ろから声。


「遅い」


「いつまで待たせるんだ」


 ざわつきが広がる。

 空気が変わる。

 不満。

 焦り。

 そして――苛立ち。


(止まる)


 完全には止まっていない。

 でも。


(流れてない)


 それが一番まずい。


「おい、どうなってる!」


 列の中から声が上がる。


「さっきまでの方が早かったぞ!」


「なんで急に遅くなる!」


 役人が何か言おうとする。

 でも。


「……順番だ!」


 絞り出す。

 しかし。


「だったら早くしろよ!」


 返される。

 言葉が弱い。

 根拠がない。

 だから通らない。

 配給の手が止まる。

 一瞬。

 完全に。


(止まった)


 ポラリスはその瞬間を見た。

 確実に。

 今まで“回っていた”ものが。

 止まった。


「見て」


 小さく。

 でも、はっきりと。

 アデリナに。


「……ええ」


 アデリナも見ている。

 同じものを。


「全員にやると」


 一拍。


「回らない」


 静かに落とす。

 目の前で起きている事実。


「つまり」


 アデリナが続ける。


「最初から、全員に配る設計ではなかった」


「うん」


 短く。


「選んでた」


 それだけ。

 役人がこちらを見る。

 明らかに。

 さっきより強く。


(来た)


 温度が違う。

 ただの現場じゃない。

 これは――


(守ってる)


 何かを。

 ポラリスは一歩前に出た。


「困るよね」


 きょとんとした顔で。

 でも、目は逸らさない。


「全部に配ると」


 一拍。


「足りないもんね」


 役人の顔が歪む。

 何も言えない。

 それが答え。


(確定)


 ポラリスは理解する。

 これは偶然じゃない。

 仕組みだ。

 最初から。

 全員に配るつもりがない仕組み。

 だから。

 札があった。

 だから。

 列が分かれていた。

 だから。

 今、壊れた。


(見えた)


 構造が。

 ポラリスは、ゆっくりと息を吐いた。


「じゃあ」


 次。

 やることは決まっている。


(ここから)


 壊すだけじゃない。


(作る)


 それを。

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