表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

197/226

第197話 第二聖女10

 沈黙が落ちる。

 誰も出てこない。

 でも――


(変わった)


 空気だけが、変わる。

 さっきまでのざわめきが、少しだけ引く。

 役人も、動かない。

 止まっている。


(いる)


 でも、出てこない。

 ボクは視線を奥へ向けた。

 建物の影。

 人の気配。

 でも、姿は見えない。


(ここじゃない)


 決めている場所は。

 ここじゃない。


「……分かった」


 ぽつりと落とす。

 役人がこちらを見る。

 アデリナ様も。


「ポラリス嬢?」


「ここでやってる」


 一拍。


「でも、ここで決めてない」


 短く。

 役人の表情が、わずかに固まる。


(当たり)


 ボクはそれ以上は言わない。


「戻る」


 くるりと踵を返す。


「え?」


 アデリナ様が一瞬だけ戸惑う。


「追わないのですの?」


「ううん」


 首を振る。


「逃げるから」


 それだけ。

 アデリナ様が、ほんのわずかに目を細めた。

 すぐに理解する。


「……そうですわね」


 短く頷く。

 それで十分。

 歩き出す。

 人の間を抜ける。

 混ざった列は、そのまま。

 誰も、もう止めない。


(触った)


 線に。


(だから、動く)


 ここから。


「ポラリス嬢」


 横から声。


「記録、ですわね?」


「うん」


 頷く。


「札」


「人」


「時間」


 短く並べる。


「全部、残す」


 それだけ。

 混ざった列は、そのまま。

 誰も、もう止めない。


「第一試験と同じですわね」


「うん」


 変わらない。


「違うのは」


 一拍。


「相手」


 それだけ。

 通りを抜ける。

 光が戻る。

 さっきの場所が、少し遠くなる。

 でも。


(終わってない)


 むしろ。


(始まった)


「ザスキア様に報告しますの?」


 アデリナ様。


「する」


 短く。


「止まってるって」


 一拍。


「選んでるって」


 それだけ。

 アデリナ様は、少しだけ考える。


「……どう返されるかしら」


「分からない」


 正直に。


「でも」


 続ける。


「見てる」


 あの人は。

 ずっと。

 神殿の白い塔が見えてくる。


(試験じゃない)


 でも。


(試験として出されてる)


 ズレている。

 でも。


(そのまま進む)


 ボクは歩く。

 止まらない。

 胸元の徽章に、少しだけ触れた。


(次)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ