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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第195話 第二聖女8

「並んで」


 ボクは裏の列に声をかける。


「え、ここで?」


 きょとんとしながら、ボクに問いかけた。


「うん」


「こっち」


 表の配給列を指して誘導していく。

 ざわつきが聞こえてくる。


「でも、あっちは……」


「いいから」


 短く告げる。


「同じでしょ」


 その一言で、数人が動く。

 列が崩れ、混ざっていく。


「やめろ!」


 役人がすぐにやってきた。


「何をしている!」


 早いね。


「混ぜただけだよ」


 ボクはそう役人に告げる。


「規定違反だ!」


「どの?」


 即返答した。

 役人は逆上して、答えていった。


「……順番だ!」


 役人は言い淀みながらも強い語気で。


「順番?」


 きょとんとしながら呆れた口調で、訊いた。


「そうだ!」


 はっきりとした口調。


「じゃあ」


 一歩前に出る。


「この人達は何番目?」


 ボクが冷たい口調で問いかけると、役人は止まった。


「正式な配給規定を提示していただけますか?」


 静かにアデリナ様が出てきた。

 微笑みながらも圧を。


「第二聖女として、確認いたします」


 そう宣言した途端、空気が変わった。

 役人が一瞬だけ引いた。


「……今は持っていないな」


 役人が言い淀みながら返事をする。


「では口頭で」


 返事は無かった。


「説明できないのでしょうか?」


 アデリナ様は詰めていく。


(違う)


 ボクの視線が動いた。

 列や人、手。


(同じだ)


 持っているものも。

 表にはない。


(印?)


「ねえ」


 小さく声を。


「それ」


 ある男の手を見てみた。


「その札」


 ボクは訊ねてみる。


「え?」


「どこでもらったの?」


 周囲がざわついた。


「これは……」


 男が戸惑っていた。

 どうしたんだろう。


「紹介で」


「誰の」


 何度も訊いていて、男はイライラしているようだった。


「…………」


 やがて返事は聞こえなくなった。

 そして視線を逸らす

 でも。


(ある)


「それがあると、先に?」


 沈黙が流れていく。

 すでにそれが返答になっていた。


「余計なことを訊くな!」


 ボクが男に質問している様子を見て、役人は怒っていた。

 アデリナ様とのやりとりが不利だから、余計に。

 ただ一瞬だけ、荷車を見る。


「配給は管理されている!」


「うん」


 ボクは頷いた。

 そんなの分かっている。


「だから見ているんだ」


 一歩近づく。


「誰を」


 短く訊く。


「つまり」


 ゆっくりとアデリナ様が問い詰める。


「全体に配っているのではなく、選んでいるのですわね」


 静かに断定した。

 空気が止まっていく。


「あれ?」


 奥に荷車がやってきた。

 来るはずのない時間なのに。


「今、来るの?」


 誰も答えない。

 役人が振り返った。

 ”しまった”という表情が顔に出ていた。


「分かった」


 短く考えが思い浮かんだ。


「二つじゃない」


 一拍置きながら、言葉を。


「選んでる」


 視線が上がった。


「流しているんじゃない。決めている」


 それと共にアデリナ様がこっちを見る。


「どうしますの?」


 アデリナ様が問いかけた。


「やること、変わる」


「何を?」


 きょとんとしているアデリナ様。


「回すんじゃない」


 軽く息を吸った。


「引きずり出す」

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