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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第194話 第二聖女7

「ポラリス嬢、どうしましょうか」


 アデリナ様がそう訊いてきた。

 少し考えながら、ボクは結論を述べていく。


「とりあえず、現場を見る」


 迷いはほぼ無かった。


「すぐにですの?」


「うん」


 即答しながら、軽く頷く。


「帳簿を見るべきでは?」


 確かにアデリナ様の考えは正しいかもしれない。

 帳簿を確認した後に、現場を見てみるのって。


「そうだけれども、まずは流れを確認したい」


 ちょっとだけアデリナ様の方に乗っかっても良いかなって、思ったりはするけれど。

 だけど揺らぐことはない。


「ポラリス嬢の考えは分かりましたわ」


 アデリナ様は瞳を軽く閉じて頷いた。

 ボクの考えに乗っかるようだね。とりあえず迷っていても、何も動かないから。

 そして神殿を出ていって、王都南区へと向かっていく。

 いつも通りの王都市内。

 ボク達は第二聖女として街の流れを眺めていく。


「さて、この辺りですわね」


 人の流れが、少しだけ違う。

 多いわけじゃない。

 少ないわけでもない。


(揃ってる)


 でも。


(偏ってる)


 ボクは立ち止まる。


「どうしましたの?」


 アデリナ様。


「見る」


 短く。


 視線を動かす。

 列。

 人。

 持っている袋。


 同じ。

 同じ時間。

 同じ場所。


(同じ人)


「……あそこ」


 ボクは顎で示す。


 配給所。

 並んでいる。


 でも。


「少ないですわね」


 アデリナ様が言う。


「うん」


 少ない。

 本来なら。

 もっと並ぶはず。


(来てない)


 来ていない人がいる。


「時間が違うのかしら」


「違う」


 即答。


「昨日と同じなら、今」


 それだけ。

 ボクは少し歩く。

 通りを一つ外れる。

 人が減る。

 音が減る。

 でも。


(いる)


 奥。

 影の方。


 人が集まっている。


「……こちら?」


 アデリナ様。


「うん」


 近づく。


 声。

 小さい。


「まだか」


「来るって言ってた」


 配給を待っている。

 でも。


(場所が違う)


 ボクは止まる。


「ここ、違うよね」


 ぽつり。


 アデリナ様も頷く。


「ええ」


「公式の配給所ではありませんわ」


 つまり。


(分かれてる)


 流れが。


 一つじゃない。


「……二つある」


 ボクは言う。


「表と」


 一拍。


「裏」


 静かに。

 アデリナ様の目が、わずかに細くなる。


「意図的ですわね」


「うん」


 自然じゃない。


 その時。


「おい」


 声。

 振り返る。

 男。

 役人。


「ここは立ち入り禁止だ」


 短く。

 でも。


(早い)


 来るのが。

 ボクは少しだけ目を細めた。


「なんで?」


 男は一瞬だけ詰まる。


「規定だ」


「どの?」


 重ねる。


「……」


 答えない。

 そのまま。


「戻れ」


 押すように言う。

 アデリナ様が一歩出る。


「その規定、提示していただけますか?」


 静か。

 でも、逃がさない。

 男は黙る。

 一瞬。

 その間で、分かる。


(ない)


 表には。


 ボクは、少しだけ笑った。


「そうだね」


 短く。


「動かす」


 アデリナ様がこちらを見る。


「ここを?」


「うん」


 頷く。


「崩す」


 それだけ。

 流れは、二つある。

 なら。


(混ぜる)


 ボクは一歩、前に出た。

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