冬休みの日記
年末、珠子さんはらいむちゃんに誘われて東京へ行くそうです。イベントの売り子って、やはりあの埋め立て地の果てで毎年やってるやつでした。30日の朝に出て31日に帰るという話を聞いて、陽子さんも東京へ行くと言い出しました。大晦日に大きな稲荷神社で狐の仮装パレードがあって、これに参加したいそうです。その神社って、あの英国狐のジミー君のいる所ですよね。元気にしてるのでしょうか。
冬至の日。陽子さんが夕食にカボチャを食べたいと言いました。北の地方に多い風習らしいです。秋の収穫を大事に置いておいて、一年の太陽の恵みを神に感謝するんだそうですが、冬の厳しい時期に備えて栄養とって元気を付けようという事なのでしょう。
で、夕食のあと、陽子さんが出して来たのは「シュトレン」。ドイツのクリスマスのお菓子だと思っていたのですが、陽子さんによると、夏の恵みと秋の恵みを合わせて形にした過ぎ越しの祭りのお供え物が原型だとか。『太陽さん1年間ありがとう。明日からまた頑張って。』だそうです。日本もドイツも気持ちは同じなんですね。
年末に向けて、スナおばちゃんの惣菜屋さんでは「おせち料理」を売り出してます。黒豆とか田作とか昆布巻とか、定番の品を日替わりで1品づつ。30日まで毎日通うとコンプできる。要る量だけ買えるし、作りにくい物だけ買うというのもアリなので、けっこう人気らしいです。珠子さんはバイトの帰りに僕の分も届けてくれます。この正月はちゃんとした「おせち」がたべれます。ありがたいです。
秋の幽霊の一件の続きです。例の茶髪が来ました。「新年の3日はチャリティ餅つきなんですよ。手伝ってくれますよね。」って。話を聞いたスナおばちゃんやらいむちやんも行くって言い出して、結局みんなで行くことになりました。チャリティと聞いて、らいむちゃんはネットで宣伝しておくねって。ゴスロリ服で餅搗きするんでしょうか。あ、僕も人手にカウントされました。
突然、陽子さんの従姉妹さんが来ました。白狐の真白さん。あちらは大きな神社で年末年始は参拝客でいっぱいなので、神使が出るような大きな祭事はやってられないんだそうで。その隙にお休みを貰ったみたいです。お休みと言いながら、翌日は村の稲荷神社のお掃除をしてました。
お屠蘇がわりにと貰い物の薬酒を持って来てくれました。陽子さんは味見と言って早々と薬酒を開封してしまいました。味醂ベースでとろり甘口で美味しいけれど、これアルコール強いです。入っている薬草の影響か、珠子さんは1杯で酔ってぐだ~っと伸びていました。
30日は、珠子さんと陽子さんは東京へ。らいむちゃんの運転で陽子さんの従姉妹の真白さんも同行。僕はあんな恐ろしい所へは行きません。ちびたちとこたつみかん。翌31日。ネットでの前宣伝もあってビデオDVDは無事に完売したそうです。珠子さんとらいむちゃんは販売促進を兼ねてコスプレしたそうです。
31日の晩は狐の仮装パレード。陽子さんと従姉妹の真白さんは自前の耳だったようですが、他にも仮装に紛れて本物の耳付きが大勢いたそうです。こないだの英国狐のジミー君が、真白さんと握手して感激していたとか。そのあと、しばらく話こんでいたらしく、一行が帰って来たのは元旦の朝でした。
元旦は(陽子さんたちが朝帰りだったので)昼から村の神社へお参り。2日は、僕は実家へ顔出しに、陽子さんはちびたち連れて龍神様の所へ御挨拶に。珠子さんはお留守番(お昼寝)。
3日はみんなで山向こうの神社へ餅つきに。僕は畑で採れすぎた大根を持ちました。餅つき大会は例の茶髪(化け猫)にいちゃんが司会で、「今日は山向こうの新谷村から応援が来てくれてま~す。」と紹介されしまた。それに応じて陽子さんが「新谷村は稲荷神ですが、私は昨年はこちらの神様にもいろいろお世話になったので、仲間と一緒に来ました。新谷村の元気な大根も持って来たので、お餅と一緒に食べてください」と挨拶。村の宣伝ありがとうございました。
スナおばちゃんの発案で新谷村の臼は変わり餅になりました。ひと臼目はうるち、その後はキビとかアワとか豆とかいろいろ入れて。珍しさもあってか大人気でした。陽子さんは、例の黒スーツで杵を振るいました。気合いれてハイペースで、バシっ、バシっと。それに合わせてちびたちが合い取り。交替しながらって言われたからって、10回搗くごとにパッとジャンプして入れ替わるのが観客に大受け。メイド服の珠子さんとゴスロリ服のらいむちゃんは餅をまるめる係。ネツトの宣伝が効いたらしく、カメラ持ちのオタっぽいのが何人も。真白さんはおばちゃんの手伝い。僕は洗い物と雑用係でした。
無事にお正月も終わったと思ったら、陽子さんの爆弾宣言。「やっぱり正月がこの時期ってのはおかしい。梅が咲き出す頃でなきゃだめだ。」って。うちは旧暦でもう一度正月やることになりそうです。
お話は年を越しました。




