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鎌鼬を徹底解析 by らいむ

 しかし、鎌鼬って不思議な技だよね。空気の渦とか真空とか説明らしい物はいくつかあるけれど、物理学的には不自然だよ。高速で動いた物体の後ろには真空や渦は生じるけど、あいつらは手を振るだけで、10m以上離れたところを切っているんだから。ファンタジー系ではウィンドカッターとかウィンドブレードとかって、刃物が飛んでくイメージだけど、いくら魔力を考慮に入れても、空気はそんなに速く動かないし、空気の質量では当たってもダメージはしれてるし。だいたい空気中を空気が形になって動くなんて変。くわしく訊きながらいろいろ観察して調べてみなきゃ。ということで、今日のお昼はお弁当持って街はずれの川の河川敷へ。


 で、フェレツトたちの説明をききながら検証。こういう所は理系女子らしく徹底解析ね。

(1)鎌鼬の出し方

  そこに鎌鼬を出すというイメージ+それが前に飛んで(進んで)斬れるというイメージ

(2)鎌鼬の鎌を出す場所をイメージする必要がある。

  鎌は斬る場所から30cmほど離れたところに出す。

  鏡に写る所は狙えるけど、見えない所には出せない。網やガラス越しにも出せる。

  鎌を出したところから目標までの間にガラスや網があると斬れない。

(3)鎌鼬を出した場所から斬撃の飛ぶ方向

  術者と出す場所と目標が一直線だといちばんやりやすい。

  斬撃の斬る刃の面は任意に傾けられる。水平でも垂直でも斜めでも、イメージしだい。

  斬撃の斬る刃の面を軸にして斬撃を飛ばす方向を少し曲げられる。最大30度ほど。

(4)鎌鼬を出す位置から斬れる所までの距離

  鎌鼬を出した位置から約30cmの位置で威力が最大

  そこから前後に離れると威力が減る。

  威力最大の点を結ぶと、鎌鼬を出した点を中心に円弧状になる(鎌というより円月刀)


 総合すると、どうやら空気の圧力の変動を複数(2つ?)つくり、それによって衝撃波をつくる。衝撃波の波面が重なってジャンプ現象のような事がおこるのだろうか。それが物体の表面に達すると急激な圧力変動になる。そこに逆回転する空気の渦ができて・・・


 そうなると、ちびたちは、特定の位置に空気を転移さていることになるよね。そんなことできるの。

 詳しく訊いてみると、鎌鼬を出す直前に「空気をきゅっとする」って。

 「んじゃ、きゅっとして、それからそのまま力を抜くってできるかな?」

 「できそうだよ。」“ふわっ”と緩い風が起きました。

 「もっとぎゅっっとできるかな。」「んんんんんっっ」 “どっか~ん” 何もない空中が徒然大爆発。広い河川敷でやってて良かったね。部屋の中だと窓割れてたね。

 「今のでどのぐらいぎゅっとしたのかな?」「えっと、だいたい100倍ぐらい。もっともっとできるよ。」 100気圧でもけっこうな爆弾だよね。もっともっとってしたら・・・やっぱり「空気爆弾」は危険すぎるね。これでも耳が痛い。

 「それじゃ、5倍ぐらいでいいから、そこの板の近くに出せるかな」

 「んじゃ、ぺち。」 “バン!” ありゃ、ベニヤ板が吹っ飛んだ。けっこう強力なパンチになるねぇ。敵のアゴの下とかにいきなり出してノックアウトとかできそう。これなら「空気弾」ぐらいかな。これを連発できるかだね。


 「あはは、おもしろいよ」 “バン!” “バン!” 落ちていた空き缶を缶けりみたいに飛ばしてるよ。

 ちびたち、必殺技を勝手に新しい遊びにしてるね。自分の手のひらの所で間で爆発させて、その勢いで吹っ飛びながら空中回転。今度は足の裏で爆発させて、空中にジャンプ。飛び上がってから、横に爆発させてスラスターのように方向転換。子どもの順応力をあなどってたよ。 “バン!” “バン!” 

 いくら河川敷でも、これじゃ爆竹どころじゃない。「怒られる前に、逃げるよぅっ!」


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