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遭遇


再び学校。


また変なところに出たな……。


俺が次にスタートした地点。そこは図書室だった。


しかし並んでいる本はほとんどゼロに近く、空虚な本棚だけがずらっと並んでいる。


こんな場所だと、誰か隠れてても分からんな。


そう思いながら、俺は出入り口の方へと向かった。


なんとなくだが、再スタートする場所には誰もいない気がしていた。


まったくの想像にすぎないが、そのへんの事はある程度配慮されているのかも。


四つの鳥居というのも、個人の運を試すためとか……何かしら意味はあるんだろうな。


俺は少しこの学校の雰囲気に慣れてきたこともあり、普段通りに歩いて図書室の扉まで進んた。


念のために扉の覗き窓から外の様子を窺う。


図書室の正面にはまっすぐ廊下がのびていて、そのサイドに、情報処理室や理科室、家庭科室などのプレートがついた部屋が並んでいる。


見える範囲に人の気配はない。


この広い校舎内に7人だからな。


ばったり出会う確率の方が低いよな。


俺はそっと扉をスライドさせて廊下に出ると、すぐ横の情報処理室の中に入り込んだ。


「ひうっ!」


え?


中に入った瞬間。

部屋の奥の方から小さな悲鳴が聞こえた。様な気がした。


情報処理室の中は、とても古いブラウン管ディスプレイの置かれた机で埋め尽くされている。


そしてその周りに散乱するキャスター付きの丸椅子の間を、俺は静かに進み始めた。


部屋の半ばまで進んだあたりで一旦立ち止まり、室内の様子を窺う。


思いこみかもしれないが、やはり誰かの気配を感じる。


俺は眼を凝らしつつ奥の方へ足を一歩伸ばした。


……いた。


なんというか、割と鈍臭い動きの人影が。


薄暗いのではっきりはしないが、一人の女子生徒らしき人影が、四つん這いでこそこそと移動しているのが、机の間からチラチラと見えている。


まだある程度の距離がある。

先に声を掛けといたほうがいいだろう……。


「てか、見えてるけど……」


すぐに机の影に隠れられるように警戒はしつつ、俺はそこそこ大きな声で言った。


「えええっ!」


 何かがガターンと当たる音と同時に、部屋の奥で一人の女子生徒がぴょこんと立ちあがった。


小っさ! 


身長は余裕で150センチ以下だと思う。


赤紫色のブレザーに青いリボン。そして裾には黄緑色のラインが入った濃緑色のスカートと言う独創的なデザインの制服は、近所の駅でよく見かける隣の私立高校のものだ。


眼の下には小さなほくろ。赤いフレームの眼鏡が良く似合っている彼女は、かなり幼い顔つきではあり、全体的に丸っこくて可愛いらしい顔立ちをしている。


おおよそこの場には似つかわしくない風貌だ。


そして、そんな彼女が今、緊張した面持ちで眼の前に立ち竦んでいる。


手には……スマートフォンを持っているのみだ。


一瞬、拳銃でも持っているかと想像したがまったくそんなことはなく、俺はとりあえず安堵した。


いきなり遭遇し、お互い身動きとれないままなのもなんなので、さりげなく声をかけてみる。


「えっと……君は?」


「日種香(ひぐさ かおり)ですけど……ってああっ! 名前言っちゃった!!」


……何だろうこの感じ。全然緊張感がない。

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