衝撃
足音を立てないように踊り場まで辿りつくと、少し姿勢を落として下の階の様子を窺う。
……とくに変わったことはなし、か。
少なくとも見える範囲には誰もいないことを確認し、さらに下へと歩を進める。
階段を下まで降り切り、廊下に足を着いたその瞬間。
遠くからガラスが割れる様な音が響いた。
今のは……。
反響しすぎてどこから聞こえてきたのかは分からなかった。
が、おそらくは今自分が居る階のどこかだろう。
進むべきか戻るべきか……?
音からして、誰かがガラスを割ったのは間違いない。
それがどういう状況だったのかは俺に走る由もない。
ただ一つ確実なこと。
それはこの建物の中に、自分以外の誰かが存在しているということだ。
そして、最初にどぐ丸の話をきいた限りでは、自分以外の6人を全員倒さなければ、このゲームは終わらないようだった。
……やばすぎん?
強引に話が進んでいたのでその時は考える暇がなかったが、これは大変だ。
仮にこれがゲームだとして、どうやって敵のライフを奪うのか。
全部奪われたらどうなるのか。
途中で棄権できないのか。
そもそもこれは一体何なのか!
などなど……多くの疑問が浮かび上がってくる。
手がかりになりそうなものといえば……。
そう思いつつ、俺はどぐ丸にもらった和紙を学ランの横のポケットから取り出し、開いてみた。
紀本 亮平 四 一
日種 香 四
塚原 隼斗 三 休
西野 由佳理 四
静守 曜子 四
漣 蒼真 四
国原 創 四
数字が変わってる。
急に名前言われても全然分からない。
が。
とりあえずこれは、どう考えても紀本ってやつが、塚原ってやつを一回倒したってことだよな?
てことはさっきの音はこの戦いの音ってことか?
そんなことを考えていると、背中を一筋の汗が伝い、だんだんと心臓の音が大きくなってくるのが分かる。
さっきの音は廊下よりも更に遠くの方から聞こえてきた気がする。
しかし、あの音が二人の接触により生じた音だとすれば、塚原を倒した紀本はまだこの階をうろうろしてる可能性が高いわけで……。
何やら嫌な予感がしてハッと顔を上げると、俺はすぐに階段を上に向かおうとした。
その時だった。
「!?」
頭に焼ける様な痛みと、強烈な衝撃を感じた俺は、そのまま意識を失った。




