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不器用な男
「美祝は元気」
「あぁ」
「僕転校したんだ」
「あぁ」
「友達もいたんだよ」
「あぁ」
「テストも頑張ったんだよ」
「あぁ」
「ずっと忙しかったの?」
「あぁ」
「じゃあ行くね」
「あぁ」
そうして息子は去っていった。
「舎利弗!なんで優しい言葉が言えない」
桜井が言った。
優しい言葉がわからない。
「優しい言葉……、例えばどんな事を言えばいい?」
「そうだな。寂しくなかったか?とかか……」
「わかった」
俺は、息子を追いかける。
翠明は廊下の窓から、外の景色を眺めていた。
「翠明!」
「どうしたの?」
「寂しくなかったか?」
翠明はしばらく景色を見たままだった。
「わからない」
「そうか……」
俺は研究室に戻った。
桜井が待ち構えていた。
「どうだった?」
「聞いたら、わからないと答えた」
「それで?」
「それだけだ」




