第22話 手を取り合って、一歩を。
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「治癒ネズミさん、分かります。私も学生時代、このスキルのせいでパーティーを組むのは難儀しました」
「え……インゴットさんも?」
配信を見ている限りでは、そんな苦労をしているとは思えなかった。
インゴットが共感を示したことに、治癒ネズミは少し驚く。
「ええ。周りの友人が、剣から光を放ったり、杖から氷の矢を撃ち出したり……していたら、私の鍛冶師は地味で、評価されないのも仕方ない事でした」
「あ……」
剣士と魔法使いが余るほどいるのに、わざわざ鍛冶師をパーティーに誘うなんて、物好きくらいなものだろう。
せいぜいが武器作成の依頼をするだけで、一緒に戦闘を、とはならない。
「……ま、そういうわけで。ほとんどソロでやってきて、なんとか手持ちのスキルで戦えるように工夫して、今に至ります。……だから、といっては何ですが、治癒士も、もしかしたら工夫しだいで戦えるのではないか、と、私は思っていますよ」
他人に決められた役割じゃない。
自分がどう使うか。
インゴットが言いたいのは、その部分だった。
「そっか、そう……そうですね。わたし、諦めてたけど、もう少しだけ、頑張ってみようかな」
「良いですね。不遇スキルでもやれるんだって所、みんなに見せましょう」
「……はい!」
治癒ネズミの顔は明るくなっている。
少しだけでも吹っ切れたようだ。
「インゴットさん、よければ、その、さっき言ってたダンジョンに同行して貰えませんか?」
「ああ、度胸試しの……。勿論です」
「ありがとうございます。よろしくお願いします!」
インゴットは[運否天賦の地雷迷宮]の場所が載った地図をネットからダウンロードし、Yitterのメッセージ機能で治癒ネズミに送った。
「あ、結構近いですね」
「おおよそ、ここから30分くらいです」
「日帰りでも行けそう。えっと、行くのはいつにしましょうか」
「私は予定いつでも空いてるので、治癒ネズミさんに合わせますよ」
インゴットはさる事情により、仕事を退職している。
今は退職金と貯金で人生を謳歌する自由人だ。
ダンジョン配信者ではあるが、収益はまだ無い。
「えっと、じゃあ──」
インゴットのスマホに通知が届く。
剣豪からだ。
通知欄の件名だけ読むと、次のダンジョン攻略のお誘いのようだ。
「ちょっと失礼」
断りを入れて、インゴットは剣豪のメッセージを開く。
『よっすー。トトっち、次どこ行くー? いつ行くー? あーしは放課後ならいつでもどこでも! 返事よろ〜』
というものだった。
……考えようによっては、好都合か。
インゴットは治癒ネズミに事情を話し、剣豪を誘ってもいいか聞く。
「治癒ネズミさん。剣豪さんからもダンジョン攻略のお誘いが来てまして、良ければ3人で行きませんか?」
「あ、はい。わたしは大丈夫です。予定が合えば」
「ありがとうございます。それでは伝えますね」
了承を得たので、剣豪にその旨を伝え、剣豪も『おけまる〜』と返事をしたので、Yitterのメッセージ機能で3人のグループチャットを作成した。
『よろー』
『こんにちは』
『よろしくお願いします』
それからは3人の予定をすり合わせ、ダンジョン攻略の日程調整をした。
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