この物語の中心
光に包まれた3人
勇者の子、シエル・サキムラ
魔王の子、アルバート・ルシウス
そのアルバートの幼馴染、アリシア・バイアス
魔法ホウキに乗ったような
宙に浮いた感覚が全身に広がる
3人は白い空間でお互いを確認する
「………………!」
シエル達は声を出すが
声はかき消された様に自身にさえ聞こえない
お互い目配せして安全を確認する
白い空間の足元から
ユラユラと明らかになる
「!?(雲?青空?)」
どうやら3人は空中にいるらしい
だが風は感じず、ゆっくりと地表へ近づく
雲を抜け薄暗い地表が現れる
地表は雪で覆われていた
周り都市は見えず
どうやら北方の地方らしい
雪原には沢山の明かりが列を作りうごめく
地表にさらに近づくと正体が分かり始める
人であった
何千もの人が列を乱さず進む
格好は革の鎧を纏い武器を背負う
兵士達が進む先に針葉樹の森があり
さらにその先
雪で覆われているが
所々山肌が削れていたり、燃えている木の柵
戦場の様に見える…
3人はゆっくりと
人の流れの近くに降り立つ
だが空から人が降りて来たのに
誰一人シエル達を見るものは居なかった
どうやら見えて居ないようだ
アリシアは人に話かける
「…………(あの!すいません!)」
アリシアが1人の兵士の肩を叩こうとするが
すり抜けてしまう
首を振るアルバート
アルバートも干渉できない事を理解したようだ
アルバートがシエルを見ると
シエルは進軍する先を覗く…
すると3人は飛ばされ先頭へ
先頭には黒く大きな馬にまたがる将が軍を引っ張る
「!?」
驚く3人…
無理もない知った顔だった
「………(クリア………クリア!)」
シエルの声は届かず…
クリア・トリエリス
シエルの友人…それ以上の存在
本当は今日、デートするはずだった人…
だがウィル神父に連れて行かれ行方をくらましている
シエルが今、1番会いたい人物であった
クリアはクリアなのだが
少し今と変わっている
髪は長くなり
金髪に映える紅を引き
鋭い眼光が進む先を刺す
「(雰囲気が全然違う…
大人の様に見えていたクリアが
さらに成長したような……そうか…ここは未来だった
ウィル神父を取り込んだラプルスが視せている未来)」
シエルが考えていると
3人はまた浮かぶ
見えていた背景は動きを速める
クリア達は戦場へ進む
だが戦場へ着いた時には戦は終わっていた
人間族が勝利していた
「やはり…援軍は要らなかった様ですわね…」
クリアが戦いに勝った将へ話かける
「いや、コレから魔族側へ攻め込む」
「!?これ以上は深追いでは?」
「これは好機なのだ…トリエリス家の長女よ」
権力を持っていそうな将がクリアを威圧する
その将は魔族側の領土を進行し始める
その後ろに続くクリア
ある渓谷、魔族側の反撃が始まる
逃げる先の軍
後ろのクリア達は驚き戸惑う
そこで魔族とぶつかる
上からのぞき込むシエル達はさらに驚く…
魔族を指揮する人物
アリシアであった
「……(私……未来の………)」
「貴方はクリア……
やはり、こうなってしまったのね…」
未来アリシアが切ない顔をする
「アリシア……解っていた事ですわ、
人間族と魔族いずれぶつかる事を……
私情は挟みません……」
杖を取り出すクリア
そして後ろの軍に撤退を命令する
「なぜ……貴方は逃げないの…」
未来アリシアは唇を噛む
「私は愛する者を…民を…
護る為に強くなる事を選び学んで来ましたわ……
だから、私逃げませんわ!!」
杖を構えるクリア
また、シエル達は飛ばされる……
今度は大きい屋敷の中にある牢屋
身なりの良い男が枷を着けている
シエルは直ぐに気づく…
「(今度は……俺……)」
静かだった屋敷は
急な慌ただしくなる…
「急報!急報です!」
未来シエルの元へ
兵がやってくる
「シエル様………お話が……」
「言わなくいい…」
何かを悟る未来シエル
「ですが……」
「クリアが……戦死したのだろう?…」




