失う者たち
「クリアが…戦死したのだろう?…」
未来シエルは伝令の兵に聞く
「!…シエル様……そうです………
貴方が……クリア様の側にいたのなら…
……すいません…出過ぎた事を言いました…」
兵は一礼し牢屋を去る
暗い部屋にすすり泣く声が響く
「……(嘘だ…クリアが死ぬなんて…)」
その会話を聞いたシエルは力が抜けるように座り込む
「……」
アルバートとアリシアも呆然とする
「おい…」
すると未来シエルが声を発する
「そこにいるんだろう?過去の私……」
未来シエルは目を閉じ何もない所に話かける
3人は驚く、
なぜならここは未来…
過去にいる3人は干渉できない
「私も未来を見た…だがお前達が見ている物とは
全くの別の未来だ…」
未来シエルは喋り続ける
「ラプルスが視せている映像は
お前達がこの先1番絶望をする未来だ」
「その絶望を変えようと俺達…『シエルたち』は
運命に抗っている…」
「私が見た未来はクリアと共に逃げ出した未来だった…だが…彼女は大戦の戦火に巻き込まれた」
「だから、今回の私は…
戦った…何百、何千、戦争で魔族を殺し進んだ
魔王さえ…倒したのだ……」
魔王の息子のアルバートが反応する
「……(父様を…)」
「そこにアルバートもいるな………
すまない……魔王である君の母を殺して……」
「!(母様?)」
「許して欲しいとは言わない……
ただ……謝らせて欲しい………どうか」
未来シエルが頬に涙を垂らし土下座する
「…話を戻そう……
勇者として戦かっていた私だが
私はある病にかかってしまった…
いや、すでに病気だったのだ………
私自身なら分かるかもしれないが……
…戦争病だ……過去にトラウマがある私は
戦場で逃げ出してしまったのだ…
止める仲間を傷つけて…
敵前逃亡し、今トリエリス家の
屋敷の牢屋に入れられている……」
「もう……私は…戦えない…
打ち取った敵の顔…
トラウマの過去……
思い出してしまう………
妻の…クリアの敵さえ取れないだろう」
「だが…この未来は……私だけでいい…
未来を変えろ……『シエル』!」
3人はまた飛ばされる
「………(次は…俺か?)」
アルバートが息を呑む…
飛ばされた先は知っている場所であった
魔王の城
中へ飛ばされる
玉座に座る男…アルバートであった
「急報!アリシア様が北方の戦から
帰って来ました!ですが…」
未来アルバートが立ち上がる
「まさか…」
「敵将を打ち破るも…アリシア様も…
敵の反撃を受け重体に……」
「アリシア…」
「お呼びでしょうか…」
奥から声が聞こえてくる
「アリシア!」
担架に乗り運ばれてくる未来アリシア
下半身と左腕は無く
周りの魔族の魔法によって
ギリギリで生きている状態であった
「魔王様……貴方に仕える事が出来て私は幸せです」
右手を伸ばす未来アリシア
「泣かないで…魔…いえ…アルバート……
私…勝てたのよ?覚えてる?
魔法学校の1年生の時、クリアに試合で負けたの
悔しくて悔しくて……今回も負けそうだったの…
私……頑張ったんだょ……だから…最後は…
私の事を………褒め…て…」
「あぁ…褒めるさ…何度だって…
だから…だから……いくな……」
未来アルバートは未来アリシアを抱きしめる
未来アリシアの右手が優しく包み込む
その右手が少しずつ力を失う




