親友ラプルス
ウィルに絡みつく黒い影が
広がり姿を現す
青髪の角の生えた魔族の男性が
壊れた玉座に座るウィル神父に寄りかかる
「ラプルス…」
「おめでとうウィル、ようやくこの時が来たね」
「君の力のおかげだよ…」
「ウィルの力が無ければ届かない夢さ」
ラプルスが甘い声でウィルを抱き寄せる
「コイツは…いったい」
シエルは新手に警戒を強める
「ボクかい?ボクはラプルス…ウィルの親友さ…」
「なぜ聖職者の神父と魔族…
その中でもこの禍々しい感じは…悪魔族…」
アリシアが壊れた氷像から顔を出す
「悪魔族?」
シエルはアリシアに近づき体勢を立て直す
「はい…魔族の中で…闇魔法の操作に長けている
魔族の中の貴族の事を指します…」
「………君は…物知りな魔族だね…」
鋭いラプルスの眼光がアリシアを刺す
「でも僕は貴族じゃないよ……
戦争で住む所を失った野良の魔族でね
ウィルに救われたのさ
ウィルは多くの獣人族や魔族救ったお方なんだよ…
僕の能力がウィルの役にたっているんだ…
だから一緒にいるんだよ?分かったかな?」
怖い笑みを浮かべるラプルス
「能力…」
「あぁ……僕は未来が視えるんだ
けどね…大量の魔力を使うから
普段は使い物にならないのさ…ふふ…懐かしいな…
戦争で人間族に襲われた時、この能力を使って
命からがら逃げ生き延びたんだよ」
「でもなぜウィル神父がその能力を?」
「アレ?知らないのかい?
ウィルは魔力や能力を譲渡したりする事ができるだよ
それでねボクを助けた時にね、お礼に渡したんだよ」
ウィルを見つめ興奮するラプルス
「その能力得たウィルはさらに沢山の命を救った…
けどね…戦争は激化して
ウィルの教会さえ無くなってしまったのさ」
うつ向き暗い顔のラプルス
顔を上げると表情は絶望していた
「そんな事が……そんな事があっていいのかい?」
「それは…
「ダメだよね?だから…もう…」
「僕達が…世界を変えるんだ……」
恍惚な表情のラプルス
「そんな事を考えていたのか…」
ウィルが驚く
「世界を変えるには…世界を無くせばいい
世界を無くすには…滅ぼせばいい
滅ぼすには…敵を倒せばいい
敵を倒すには…強くなればいい
強くなるには……力をつければいい……
でも死んだら終わり…
いくら強くたって負ける時は、必ず負ける…
そんな負けは…
認めない…許さない…受け入れない…
未来視でいくらでも変えればいい…………」
興奮するラプルス
「民を救うのに滅ぼすだと?
どうしたんだラプルス…………ゔぅ…」
グサッ
ラプルスは持っていた黒いナイフで
ウィルの腹を刺す
お前…」
「さぁ…ウィル…一つになろう…」
ラプルスが刺した腹に腕を入れる
「ガア!………やめ……」
ウィルの体は輝き
座っている玉座から魔力を集めて膨らむ
「僕との未来を視ないなんて…君は…」
アリシアとシエルは
起きた出来事に何もできず立ち尽くす
その時アリシアの後ろの入り口が開く
「大丈夫か?これは…」
アルバートが顔を出す
「来たね……コレで役者は揃った…
さぁ…未来を一緒に視ようよ」
ウィルを中心とした光が部屋を包み込む




