欲望
ウィルは静かに眠る様に息を引き取る
するとウィルの身体からポツポツと
光の玉が何個も飛び出す
玉は一つ一つ個性があった
赤い玉、青く暗い玉、大きく白い玉
シエルはその光景をただ立ち尽くし見ていた
一つの玉がウィルから飛び出す
青白く光輝く玉
玉はウィルから離れると
シエルへ向かう
シエルの周りグルグルと周る
シエルが手を出すと
その手の上に乗る
玉はとても冷たい…冷気を出していた
だが、どこか温かく懐かしい…
シエルは直感で理解した
「クリア…クリアの魔力…
早く…クリアに返してあげなきゃ…」
少し安堵するシエル
その時だった
「うああぁぁ!やめ……」
エドワードが叫び出す
「欲しい、欲しい!全部!ぜーーーんぶ!」
聞いた事のある声…ヒナ?いや…
聞いているだけで背中に冷や汗を感じる不気味な声
エドワードが黒いモヤに囲まれる
「エド先輩!」
シエルが名前を呼ぶが返事をしない
黒いモヤに完全に沈むエド
するとモヤは腕の形になる
二本、三本と腕は増えていく
腕が動き出す…
向かったのはウィルから飛び出した光の玉だ
腕は玉をガッシリと掴み離さない
モヤの狙いが解ったシエルは
クリアの玉を咄嗟に隠す
「コレは…いったい…
エドワードさんはどうしたんだ?」
アルバートが唖然とする
「呪い…」
シエルがポツリと話す
「シエルくん!知っているの?」
アリシアは状況を確認する
「アレは、エド先輩が前に教えたくれた…
エド先輩の中の呪い…力を欲する呪い…
ラプルスの力を吸って暴走してる…
ウィルさんから飛び出した
皆から借りた魔力に反応したみたいです」
「もっと…もっと!」
腕の数が増える
「まずいんじゃないか?」
「そうだね、アルバート…ここで停めないと
森を出て学校に…他の学生達が危ない!
先生達は行方不明者を探して手薄だ!」
「じゃあ…ここで私達が停めるしか…」
銃を構えるアリシア
「ウォーターレーザーシュート!」
水の弾を打ち出すアリシア
だが弾は腕を貫通する
「あ、当たらない…当てられない…」
「ブラックフレア!バーストオーバー!」
次にアルバートが口から黒炎を放つ
魔力を有りったけ込めた黒炎は勢い良く放たれる
「!これも…だめ…」
さらに数本の腕が玉を捕まえていた
2つ腕が天に伸びる
伸びた腕が止まると勢い良く降りて来る
その腕には薄暗い光を放つ人型を捕まえていた
「なんて、ひどい」
ドリアードが涙を流す
「ウィル…ラプルス…」
人型の光はウィル神父とラプルスの形をしていた
「死者さえも取り込もうとしているのか…」
「どうしたら…」
悩むシエル、それに反応する様に
シエルの指輪が光る
現れたのはカーバンクルのルビー
「ご主人様!奴を斬るには「四災」しかないクル!」
「そうか!ありがとうルビー!」
シエルは刀を大剣に変える
四災…シエルの持つ武器
杖、刀、大剣、槍へ姿を変える
大剣はその中でも異質で、
何も斬ることができない
だが、封じ込められていたカーバンクルを
解放する事ができ
「何も」から「形の無いもの」を斬れる
という事が判明したのだった
シエルは身体の重心を下げ
大剣を振り回す準備を整える




