06話 魔物との出会い
「あんた、起きろ。行くぞ!」
「ああ…」
あれから座り込んで寝てしまったらしい、目の前の荷馬車に若い青年が乗っていた。
「ほら、乗れ!あんたが案内してくれなきゃ分かんねえだろ?」
そのまま御者台の横にすわり、馬が走り始める。
「俺はケビン、あんたの名前は聞いてる。けっ、あんたのおかげで朝から仕事だよ、しかしまあ死体を拾ってこいなんて汚れ仕事をやるなんて物好きだな。まあ、馬車をつけないといけないのを知らないあんたが悪いんだぜ、ギルドのやつは倒した魔物やら、盗賊の死体を回収するために馬車を呼ぶんだ。それから俺らがギルドまで持って行く、倒したかどうかの確認だな。そうだ!死体から剥げるもんがあるならとっとけよ、殺した奴の持ち物だからな。その後焼き場に持って行くんだ、それと死体は放置しとくと面倒なことが起きるんだ…」
その後もマシンガンのようにずっと話をしている。
クレートに『hello』を接続して、MASADA、自動小銃を取り出しスリングに掛け、替えの弾倉をポーチにしまう。
「おお!あんたどこからそれ出したんだ?」
「気にするな」
「いやいや、気になるだろ。手品かなんかか?でソレは何に使うんだ?」
「武器だ、さっき死体を食う魔物がどうとか言ってたろ」
「ああ、出たら頼むぜ。怪物はおっかねぇからな」
「ああ、頑張るよ」
「しかしあんた、どの辺りから来たんだ?その見た目といい、見たこともねえ武器?を使うなんてこの辺じゃ一人もいねえぞ」
「気にするな」
「詮索すんなってか?まああの街に来る奴は変な奴も多いがな。でもあんたはかなり、異様だぜ…」
異様…確かにそうだな…だがこっちに馴染むのは無理だな、時代がだいぶ前の世界みたいだし、いろいろと追いつけてないが… 冷静だ、冷静、訓練の時に学んだことを生かそう。
「確かこの辺りだ、降ろしてくれ」
「おい、森ん中に入んのか?馬車はここに置いて行くか。しかし、朝だってのになんで森はこんな暗いんだ。不気味だな…」
馬車は止まり、そこから降りて、追跡装置を起動し地面を見る。
「足跡は増えてないな…」
森の中を進み、小屋を確認する、あの時の夜と変わらなさそうだが、死体にはカラスが群がっているだけで、何かがいるわけじゃない。まあ数時間しか経ってないから、大丈夫か…
いや、まて向こうに足跡が増えてる、四つ足の生き物がここに来て…
「グガァ!グルルル」
森の方を見ると、毛のない犬のような体に、歪んだ人間のような顔をした化け物が三匹見える。
「屍肉喰らいだ!」
銃を構える、向こうもジリジリと寄って来ている。
一番近い奴に狙いをつけ、引き金を引く。
弾丸をくらい、走った姿勢のまま滑るように倒れこむ。
もう一匹に狙いをつけるが向こうが横に回避し弾を外してしまう。二匹はそのままこちらに向かって走って来る。
フルオートに切り替え、連射する。怯んだ一匹が動きを止め、そこを狙い撃つ。
もう一匹は止まらずにまっすぐ進んでくれたおかげで弾丸を3発撃ち込めた。
念のために頭に一発ずつ撃ち込み、死んだことを確認する。
「でけえ音の武器だな!すげえ簡単に殺しやがって、あんたなかなかやるな!!」
「グールといったか、血の匂いに寄って来てたのか?」
質問しながら弾倉を取り出し残弾を確認する。
「ああ、多分そうだ。さっさと死体を持ってくぞ、仕事が増えたな」
面倒そうな顔でグールを足で蹴っている。
「人間の方は俺が持ってくる。そっちは頼む」
「あいよ」
「よし、これで全部だな。もう行こうぜ。」
荷馬車に乗り、森を出る。
「報酬はどこで受け取ればいいんだ?」
「詰所で聞きな、それとこいつらの死体の持ち物の売り方を教えてやる」
「ああ、頼む。この辺りの事はなにも知らないんだ」
「まあ大した値段じゃ売れねえだろうけどな。俺は給料制だから安定してるが、臨時収入みたいなもんがねえ。あー 俺も宝を見つけて大金でも手にしてぇなー なあ、あんたはギルドに登録してねえのか?あんだけ強いんなら仕事は山ほどあるし、稼ぐにはちょうどいいんじゃねえか?」
「考えておく」
「ははっ、英雄に憧れてギルドに入る奴もいるんだぜ。俺も子供の頃はそうだったけどな…馬の世話をしてるぐらいのがちょうどいいぜ、全く。あんな怖え顔の化けもんと戦うなんて俺は嫌だね。あんたはああいうのは慣れてんのか?」
「危ない目には何回もあってるが、あんな奴を見るのは初めてだ」
「そうか。あんたの所にはグールはいないのか、俺の家の牧場にはな…」
はあ…よく喋る奴だ。
「よし、着いたぜ」
荷馬車から降り、誰かに話しかけている。
「おい、こっちに来い!買ってくれるってよ!」
「人間の奴はまとめて2銀貨だ。こっちのは一匹で4銅貨でいいな?」
相場がわからん…
「武器やら防具はもっといい値段で売れないのか?」
「こんなオンボロを買う奴は金のない連中だけだ。これ以上はだせない。もっと欲しけりゃ別の奴に言いな、まあどいつも同じだと思うがな」
「わかった、それでいい」
「まいど」
銀貨2枚と銅貨12枚を渡される。
御者のケビンに別れを告げ、詰所まで歩くことにする。街は石造りの街道で煉瓦造りの3階建の建物や、赤煉瓦の三角屋根の建物。まるで世界遺産の街並みみたいだ。それに街を歩く人の中には見たことない見た目の奴もいて、本当に別世界に来たことを実感している。俺も妙な顔で見られているが、まあ仕方ないだろう。しかし耳と尻尾が生えた奴までいるのか…
「はあ…不安だ…」
こっちに来てまだ時間は少ししか経ってないが、ロクでもない場所だったはずのあっちに帰りたくなってる。帰り方もわからないし、こっちでうまくやるしかないんだが…ギルドってのに登録すれば仕事をもらえるらしい、でもドラゴンを倒すってのも頼まれたしな…はあ…
「よし、ここだったな」
扉を開け詰所に入ると、いきなり見ず知らずの老人が息を荒げて話かけてきた。
「おお!お主を待っとったんじゃ!!」




