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05話 尋問室

「まず、このブレードックの街を代表して逮捕協力、感謝いたします。私の名はボルド・ラインダル。この街の南区の衛兵長をやっております。彼はヘンリー・マルシア、審問官です。それで、あなたの名前をお聞きしたい」

「俺はアルヴィ・アーセナルだ」

「アルヴィ・アーセナル殿ですな。了解した。よし、それでは事情を説明してもらいましょう。そして、審問官の彼は看破の魔術を使います、だから変にごまかしたりせずに質問に答えてもらいたい」

 看破の魔術?嘘を見破るってことか…どう答えたものか…

「えーまず、どこからここに?」

「故郷はもうない」

 嘘は言ってない、生まれの地も育ちの地ももう近づけないくらい汚染されてる。あるようで無いというべきだが。

「どうしてかお聞きしても?」

「戦争でなくなった」

「そうでしたか、あまり詮索しない方がよろしそうですね…」

 もっと聞かれるかと思ったが…

「この街はそういう人が多いのか?」

「ええ、貿易の中継都市ですから、理由があって土地を離れた人もよく来るが、そういう人達はこういう詮索を嫌いますからね」

「それで、どこで奴を見つけられたんですか?」

 そりゃ、聞くよな…どう答えればいいんだ…

「あー、えーっと」


二人が少し怪しんだ顔で見てくる。クソ、正直に言うしかないか…

「森の中の墓場で…目が覚めて…」

「目が覚めて?どういうことです?」

 衛兵長は査問官の方を見る、しかし査問官は首を横に振る。それで納得したのか、こちらに向き直す。

「どうしてそこで目が覚めたのですか?」

「悪魔に魂を攫われて…それで…えー」

「悪魔に?」

 そう言いながら、また振り向く。嘘をついてないことを確認しているんだろう。

「それで、気付いたら墓に入れられてて、そこから出たら…」

「悪魔に魂を攫われたという事をもっと詳しく話していただけますか?そう言うことはこの街でも問題になって来る、偽りなく答えていただきたい」

 衛兵長の表情がより険しくなる、こっちだって何がなんだかわかってないってのに…


「ドラゴンを倒せとか言われて…そうだ」

あいつに渡された鱗を見せてみる。


「これは…?こちらで預かってもよろしいか?」

 鱗を眺めながら、怪しんだ顔でこちらを見ている。

「あなた、これを悪魔に渡されたと言うのですか!あなた、まさか悪魔の手先なのでは?悪魔が人間に何かを授けるなどありえないことだ!」

「いや俺は手先じゃない。尻拭いをしろとか頼まれただけだ」

 これも嘘はついてない、俺はあいつの仲間にも部下にもなったつもりはない。ただ向こうの二人は顔を見合わせている。たしかに悪魔というのは引っかかる事柄だろうな。

「本当に悪魔にドラゴンを退治するように頼まれ、これを渡されたと?だとしたらこれは危険な物かもしれない、学者たちに調べさせる必要がある。これはこちらで預からせて貰う」

 衛兵を呼び、これを学習院に調べさせろと言っていた。なにかまずい物なのか…ドラゴンを倒す武器になるとか言ってたが…

「もう一度聞くが、悪魔の仲間じゃないんだな?」

「違う、仲間じゃない」

 査問官は怪しんでいるみたいだが、嘘をついてないと伝えている。

「アルヴィ殿が嘘をついていないことはわかった。それでは話を戻そう。墓場から何があったんだ?」



その後、事の経緯の全てを話し、向こうも納得した様子だった。一つ気になっていたことを聞いてみる。

「なんで、犯罪者を野放しにして放置してた?あのまま放っておけば、まだやってたぞ」

「私たち衛兵が取り締まれるのはこの壁の内側だけだ、兵士を勝手に動かすこともできない取り決めがあってね。手配書をギルドに出しておいたが、事件が起きてからまだ数日しか経ってないからな、アルヴィ殿のおかげと一件落着というわけだ」

「取り決め?」

「この辺りのことは知らないんだな。領地以外は兵士を派遣できない。というのが決まりでね。それに外には魔物がうろついている。兵士は国の戦力だから無駄にできない。だからそこでギルドの出番というわけだ。全ての国にある民間の組合でね。ここに頼めば所属の連中が解決に当たってくれる。奴らは兵士じゃないから国も責任を取らなくていい」


民兵やら義勇兵をまとめてるギルドってのがあるらしい、それで正規兵は国の防衛に尽力しろってわけか。

「それでだ、ギルドに払う予定だった報酬は君に支払おう、だがもう一つ頼んでいいか?殺した二人の死体を回収して来てほしいんだ。もちろん追加の報酬も支払う、やってくれるか?」

「やってもいいが、乗り物を貸してくれよ?二人の死体を引きずって来るなんて勘弁だからな」

「ああ、荷車を手配しておこう。御者もつけておく、その者ならどこに運べばいいかも知ってるはずだ」

 そして、部屋を後にし窓口に向かい預けていたものを返却してもらう。鱗は調べ終わったら返すと言われ、報酬の金貨1枚と銀貨3枚を渡された。



外にでると朝が近いのか少し明るくなって来ている。とりあえず御者の手配が済むまでは自由にしててくれと言われたが… 

道端に座り、ヘルメットを外して気づいたが、外気がとても冷たい。遠くを見ると雪がかかった山脈が見える、写真で見た光景みたいだ…


はあ…疲れた…眠たくなってきた……

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