自由と引き換えに
「――アストリッド様。私も命令を受けて貴女を護衛しております。
貴女のご希望だけでは動けません。それに……」
ヨハネスもアストリッドの青い瞳を凝視する。
「貴女はアストリッド・ヨルクハイム元公爵令嬢。
この国でも、貴女の国でも、王妃候補として名の挙がったお方。
十七年戦争の残党も、政治的利用を目論む者も、貴女を狙っている……」
「もうええやん!!!」
急にカイがヨハネスに叫んだ。
「守るとか何とか、そんな綺麗ごとはアストリッド様を囲い込むための方便やろが!
ほんで、アストリッド様から自由を奪って、宿屋を奪って、利用するんやろ!」
「それが方便かどうか、私は知らない。」
ヨハネスは氷のような視線をカイに注いだ。
「でも、自由と引き換えに奪われる可能性があるものは何だ?」
ヨハネスは左手を伸ばすと、カイの首を締め上げ、カイにだけ聞こえるように耳元で呟く。
「お前は、アストリッド様の命を危険にさらそうとしている。
――アストリッド様を手放したくない、お前自身のためにな。」
カイは目を見開き、うめき声を上げる。
「ヨハネス隊長様、ゲルツェン先生から手をお放しください――今すぐ。」
別作品も書いています。
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※完結しました




