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自由と引き換えに

「――アストリッド様。私も命令を受けて貴女を護衛しております。

貴女のご希望だけでは動けません。それに……」


ヨハネスもアストリッドの青い瞳を凝視する。


「貴女はアストリッド・ヨルクハイム元公爵令嬢。

この国でも、貴女の国でも、王妃候補として名の挙がったお方。

十七年戦争の残党も、政治的利用を目論む者も、貴女を狙っている……」


「もうええやん!!!」


急にカイがヨハネスに叫んだ。


「守るとか何とか、そんな綺麗ごとはアストリッド様を囲い込むための方便やろが!

ほんで、アストリッド様から自由を奪って、宿屋を奪って、利用するんやろ!」


「それが方便かどうか、私は知らない。」


ヨハネスは氷のような視線をカイに注いだ。


「でも、自由と引き換えに奪われる可能性があるものは何だ?」


ヨハネスは左手を伸ばすと、カイの首を締め上げ、カイにだけ聞こえるように耳元で呟く。


「お前は、アストリッド様の命を危険にさらそうとしている。

――アストリッド様を手放したくない、お前自身のためにな。」


カイは目を見開き、うめき声を上げる。


「ヨハネス隊長様、ゲルツェン先生から手をお放しください――今すぐ。」





別作品も書いています。

長めのお話がお好きでしたら、こちらもどうぞ。

■『神鼠の大王は猫を愛せない―美貌すぎる少年王は天敵の猫族少女を絶対に手放しません 』

https://ncode.syosetu.com/n9295ms/

■『BL終局の悪魔―俺を利用するはずの白髪高官が、なぜか俺の目を美しいと言ってくる―』

https://ncode.syosetu.com/n4565ml/

■『元公爵令嬢の小さな宿屋―年下の町医者が、客でもないのに今日も会いに来ます』

https://ncode.syosetu.com/n8605mt/

※完結しました

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