白いカップ
「アスティ、これ見て!」
アストリッドが覗き込むと、大興奮のカイが白いカップを指差している。
「これすごいねん。カップが重ねられるねん。
『重ねられるから場所をとらない!』やて……すごない?
しかも、この色がまたええわ。白いねんけど白過ぎへんやん。
ちょっと土っぽさ残ってるのがほっこりするやん。
仕事で宿屋泊まるときに、模様がバーンとあるのはちょっとしんどいけど、
白いと飽きへんし、白過ぎへんからリラックスできるし。
どう思う?」
「――――!!!!」
アストリッドはカイの腕をギューギュー握って、
髭面の奥の青い瞳を星のように輝かせ、フンスフンスと頷いている。
「あ、ええ感じ?
待って、買う前に一回持ってみ。ほら。
え?重さもちょうどええって?せやろ。
値段?値段もお手頃?大事や。商売やもんな。
これに決まり???
ええやん!めっちゃええと思うで!
宿の雰囲気に合ってるわ。幾つ買うの?
え?ほんほん……12……あ、20!?めっちゃ買うやん。
ああ、まあ、それくらいあった方が威勢がええな。」
店員に包んでもらって、金を払う。
渡してもらった瞬間に重さによろめくアストリッドを支えながら、
急いでカイが受け取る。
「お……重い!!景気がええな。」
カイは両手で抱えると、アストリッドに満面の笑みを向けた。
「ほな、宿屋に帰ろ!
昼からの営業に、早速このカップ使いたいやろ?」
アスティは髭モジャの向こうから青い瞳を輝かせて、大きく頷いた。




