第5話 ジャパニーズフード・イズ・デリシャス
「よし、帰るか」
「カタッ」
「ピギィ」
ムクロとゴールドホーンラビットを連れ、俺たちはダンジョンへ戻ってきた。
改めて見ると、仲間が増えてちょっと嬉しい。
スライム。 スケルトン。 金色ウサギ。
統一感はまるでない。
「パーティ編成終わっとるのう」
「ロマン編成って言え」
俺はダンジョンコアの前へ座り込んだ。
「よっしゃ飯だ!」
「異世界の食べ物は楽しみじゃのう」
「スライムって普通の食事するのか」
「儂は博士スライムじゃぞ、知識欲がものすごいのじゃ。なんだって食べるぞよ」
画面を覗きながら、隣で鼻息を荒くしているスライムを無視して、DPショップを開く。
ーーー
【DPショップ】
・ハンバーガー
・ラーメン
・焼肉弁当
・チョコレート
・カレー
・コーラ
・その他
ーーー
「異世界とは?日本で食べれるご飯ばっかじゃねえか。そりゃ異世界の食事はないか」
「なんなんじゃなんじゃ!」
「キャラ変わってんぞ」
俺は少し悩み――
「やっぱりお腹すいた時は、ガッツリ食べたいよな。異世界での初飯ということで、盛大に食べようか。ラーメンに、チャーハンもつけちゃおっと」
次の瞬間。
ポンッ!
本当にラーメンとチャーハンが出てきた。
「うおぉ……!」
湯気。
醤油の匂い。
完璧に日本のラーメンだった。The Ramen である。
「これだよこれ!久方ぶりの食事だぁ」
「ほっほっほー、なんじゃそれは。香ばしい匂いがするのう。うまそうじゃのう」
まずはスープから。
ズルルッ。
「うっま……」
思わず声が漏れた。やっぱり空腹の時のラーメンは最高だな。それに安っぽいラーメンじゃなくて、店で食べるような本格なラーメンだ。
「生き返る……!!」
たまらず、麺にも手を伸ばす。
ずるるるるr
「儂にも儂にも!」
「おじいさんから上目遣いされても嬉しくないな」
「そんなこと言わずに、一口だけでもぉ」
「完全にキャラ崩壊だ。食べ物はこんなにも人を変えてしまうものなのか」
これ以上、メルグがおかしくなる前に皿ごと渡した。
「うぉっほーー!!なんじゃこれは!!独特な風味じゃが、この黄色いプニプニがスープを纏ってたまらなくうまいわい!!」
「そりゃよかった」
やっぱりジャパニーズフードは最高ですな。
ふと視線を感じる。
ムクロがこちらを見ていた。
「……お前食えるの?」
「カタ?」
分からないらしい。
試しにチャーハンを差し出してみる。
ムクロは恐る恐る受け取り――
スカッ。
床へ落ちた。
「食えねぇのかよ!?」
「骨じゃからのう。それよりもそのパラパラのやつも儂にくれ」
「はいはい、もう新しいの買うよ」
メルグにチャーハンを渡し終えると。虎視眈々とゴールデンホーンラビットが俺の方を狙っているのに気づいた。なんなら戦闘の時より強力な突進が繰り出す準備をしているようだった。
「こえーよ。はいはい、お前にもやるよ」
ゴールデンホーンラビットに与える食べ物を選ぶ。
「てか、お前揚げ物とか人間の食事食べていいのか?なあ、メルグーー
メルグの方に振り返る。
「そういえばお前も人間の食事食べてるか。大丈夫か。ほれ今日は大盤振る舞いだ。お前には親子丼だ」
勢いよくゴールドホーンラビットが親子丼に飛びつき、食べはじめた。
「……そういや名前決めるか」
「おお、よいのう」
やっとこっちを向きやがった。
んー、名前は…金色の毛並み。そして今日の暖かい気温。夏が終わって、秋が始まりそうな空気。
「なんか、九月っぽいんだよな」
「ほう?」
「セプテンバー……セプト」
「ピギ?」
「よし。お前は今日からセプトだ」
「ピギィ!!」
セプトは嬉しそうに飛び跳ねた。
「よかったのう」
「なんかペット飼ってる気分だ」
その後、食事を終えた俺たちは森へ何度か往復しながら、ゴブリンやホーンラビットを狩った。
ムクロはもうどうでもよくなったらしく、自分の骨を武器に使っていた。
セプトは高速移動で敵を撹乱し、得意の突進をお見舞いする。
そして俺は、地形操作で援護する。
なんだかんだ、少しずつ連携もでき始めていた。
「おお、レベル上がってる」
「主殿も少しは魔王らしくなってきたのう」
「まだスキル空欄だけどな」
「潔いのう」
「うるせぇ」
DPもかなり貯まってきた。
この調子なら、もっとダンジョンを広げられるかもしれない。
温泉とか。豪邸とか。いや、城とかもありだな。
そんなことを考えていた、その時。
ガコンッ!
「ん?」
突然。
ダンジョンの奥から、何かが動く音が聞こえた。




