第6話 5体目の仲間
ガコンッ。
「ん?」
突然。
ダンジョンの奥から、何かが動く音が聞こえた。
石が擦れるような音だった。
「……メルグ」
「うむ」
さっきまでの緩い雰囲気が消える。メルグの声も真面目だった。最近の食事中の姿とは全然違う。
「ダンジョンの奥からじゃな」
「ああ、警戒していこう。いざとなったら、メルグも頼む」
「あいわかった」
いつもとは違い頼りになるメルグだ。
ガゴンッ。
三度音が響く。音が少しずつ近づいてきていた。
ムクロが俺の前へ出る。こういう時に頼りになるし、主人を守ろうとしてくれるんだよな。紳士な騎士様だ。骨だけど。
「カタ……」
セプトも低く身構えた。
俺は地面へ手をつく。
いつでも【ダンジョン編集】を使えるように。
そして――
暗い通路の奥から、光に反射してしっとり鈍く輝り輪郭が露わになった。
「……ゴーレム?」
岩だった。岩の塊が動いていた。
全身が灰色の石でできた、二メートルほどの人型。
頭部にはぼんやり赤い光が灯っている。
ガゴンッ、ガゴンッと間抜けな音を鳴らしながらこちらへ向かってくる。
幸い、のそのそと歩く程度のゆっくりとしたペースだ。
「頑丈そうなボディだな。それに体重が重そうだな。」
「ダンジョンの壁は持つかのう」
「さすがにそれは大丈夫だと信じたい。」
ゴーレムは俺たちへ気づくと、ゆっくり拳を持ち上げた。
「来るぞい!」
次の瞬間。
ブォンッ!!
「うおっ!?」
岩の拳が振り下ろされる。
俺は横へ飛んだ。
ズドォォン!!石床が砕ける。
体が重く動きが遅い分、避けるのは簡単だが…
「火力おかしくない!?」
「当たったら合い挽きじゃな」
「不吉なこと言うな。飯抜きにするぞ」
「悪かった、悪かった。それだけは勘弁してくれ」
ムクロが飛びかかる。
「カタァッ!!」
ムクロが自身の骨を使ってゴーレムを殴る。
カンッ。
全然効いてない。逆に骨にヒビが入った。
「相性最悪じゃ」
セプトが高速で駆け回り、ゴーレムの注意を引く。
だが――
ドゴッ!!
「ピギィッ!?」
当たってもいないのに軽く腕を振られただけで、セプトが吹き飛んだ。
「セプト!」
まずい。普通に強い。
石には石だ!
「ダンジョン編集」
ゴゴゴゴッ!!
壁を変形。天井から石柱を繰り出す。
ズガァン!!
「やったか!?」
「その台詞は危険じゃぞ」
砂煙の中から、ゴーレムが普通に出てきた。
「ほとんどノーダメじゃねぇか!!ただ、砂煙の中光っていたあの胸のところ、あれ核じゃねえか?」
よく見ると、ゴーレムの胸の奥。赤く光る部分があった。
「可能性は高いのう!」
ゴーレムが拳を振り上げる。
「セプト!」
「ピギィ!!」
セプトが高速突進。
ゴーレムの顔面へ体当たりした。
僅かに体勢が崩れる。
「ムクロ!」
「カタァァッ!!」
ムクロが飛び上がる。
そのまま、ヒビだらけの骨を叩き込んだ。
バキィッ!!
赤い核へ亀裂が走る。
俺は地面を変形。
巨大な石槍を形成する。
だが――
「……待て!」
「主殿?」
「これ、テイムできるんじゃね?」
一瞬、空気が止まる。
「おお……」
メルグが感心したように震えた。
「こんな強い奴DPに変えるより、
仲間にして魔物倒してもらった方が稼げるじゃん」
「魔王らしくなってきたのう」
メルグは感心したように頷く。
だが。本音は別だった。
――いや、普通にかっこいいだろコイツ。
ロマンだ。巨大ゴーレム配下とか、男の子が好きなやつだ。いつかはデッカいロボとかになったりしてな。
俺は手を伸ばす。
「テイム!!」
淡い光がゴーレムを包み込む。
数秒後――ピコンッ。
ーーー
【ストーンゴーレム】のテイムに成功しました。
ーーー
「うおぉぉぉ!!」
ゴーレムの動きが止まる。
赤い目が、ゆっくりこちらを向いた。
ゴーレムは静かに膝をつく。
「……おお」
「成功じゃな」
「デカい仲間きたぁぁぁ!!」
思わずテンションが上がる。
スライム。スケルトン。金色ウサギ。そしてゴーレム。
「統一感ゼロじゃな」
「ロマン編成といってくれ」




