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第6話「ポンとお月さま」
夜、ポンが縁側に出ていた。
珍しいことだった。ポンはたいてい夜になるとすぐ眠ってしまう。コンが気になって声をかける。
「どうしたの」
「月がきれいだから」
見上げると、まるい月がのぼっていた。雲ひとつなくて、星もよく見える。山の輪郭がくっきりと夜空に浮かんでいた。
コンもとなりに座った。しばらくふたりで黙って月を見ていた。
チビが奥から「なにしてるの」と声をかけて、縁側に出てきた。月を見てぱちぱちとまばたきする。
「おつきさまだ」
「うん」
「おっきい」
「うん」
三匹で並んで月を見た。遠くで虫が鳴いている。夜風が涼しくて、毛並みをそっとなでていく。
チビがそのうちうとうとして、コンの肩にもたれかかってきた。コンは動かずにいた。
ポンがぽつりと言った。
「きれいだね」
「うん」
それだけで、じゅうぶんだった。
月はゆっくりと空をのぼっていった。三匹はしばらく縁側にいて、チビが完全に寝てから、そっと家の中に入った。




