5/5
第5話「チビとどんぐり」
チビはどんぐりが好きだ。
丸くて、ちいさくて、ころころしているところが好きだ。拾って、手のひらに乗せて、くるくる回す。それだけで楽しい。
今日もチビは山道でどんぐりを拾っていた。ポケットがいっぱいになるくらい集めた。ポケットがないので、手でかかえていた。
ころ、ころころ。
歩くたびに落ちる。拾う。また落ちる。
「チビ、そんなに持てないよ」
後ろからコンが言った。
「持てる!」
「落ちてる」
「拾う!」
それをくり返しながら、三匹は歩いた。ポンはチビが落としたどんぐりをひとつ拾い上げて、くるくると指で回した。
「これ、まるいね」
「でしょ!いちばんまるいやつ!」
「ふうん」
ポンはそれをチビに返した。チビはたいせつそうに両手で包んだ。
家に帰ると、かあさんが「どうするの、そんなに」と笑った。チビはしばらく考えて、縁側の下の小さなくぼみに、どんぐりをぜんぶしまった。
「冬においしくなる?」
「ならないよ」とコン。
「そっかあ」
チビはすこしだけ残念そうにして、でもすぐに「いいや」と笑った。ころころしてるだけで、じゅうぶんだから。




