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第59話「むしあつい午後」
雨がやんで、じりじりと暑い午後だった。
ポンはいつもの岩に行ったが、岩が熱くて座れなかった。しかたなく家に帰って、縁側の日陰に転がった。
コンが本を読んでいた。チビが金魚の鉢をのぞいていた。
「金魚、あついかな」とチビが聞いた。
「水の中だから平気じゃない」とコン。
「そっか」
しばらく静かだった。どこかで蝉が鳴きはじめた。まだ一匹だけで、なんだか練習みたいな声だった。
「せみだ」とチビが言った。
「うん」
「もうなつ?」
「もうすぐね」
ポンが寝返りを打った。縁側の板が少しきしんだ。
「かき氷」とポンが言った。
「昨日も言ってたね」とコン。
「また言いたかった」
「買いに行く?」とコンが聞いた。
「あつい」とポン。「行きたくない」
「じゃあ我慢して」
「かき氷が来てほしい」
チビがくすくす笑った。蝉の声が、また少し大きくなった。




